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■ THE SKY IS FALLING/Sidney Sheldon
相次いで事故死した名門ウィンスロップ一家。 一家6人が一年以内に次々と死亡するという異常さに、テレビのニュースキャ スターであるダナが調査に乗り出す。ウィンスロップ家の当主、テイラー・ウィンスロップの足跡を辿って、世界各 地をまわるダナに、危険な罠が迫る。
ダナが引き取ったサラエボの戦争孤児ケマルとの葛藤、恋人ジェフとの関係、 ジェフの元妻であるスーパーモデルのレイチェルが癌に冒され、その看病のた めにレイチェルのもとを離れられない彼と思うように会えない苦悩…などなど の話が、約320ページ中の280ページほども占め、いったい何の話なのか、ずっとわからない。
ダナが訪れる、ベルギー、ドイツ、フランス、イタリア、ロシアなど、各国の 言葉が並び、まるでシェルダンが何ヶ国語を使えるか、見せびらかしているよ うだ。しかもそのほとんどが同じ内容。出かけて行った先の数だけ、同じこと が繰り返される。最後のわずか50ページほどで、事態はやっと動き出し、こ れが核の売買を扱った話だとわかる。
それにしても、エンターテインメントの帝王、シドニー・シェルダンのジェッ トコースターのようなストーリーテリングはどうしてしまったのだろう?こん なに退屈なシェルダンは初めてだ。飽きるほど繰り返されるエピソードも、ど うしても必要なものであるとも思えず、結末を語るために帳尻を合わせている としか見えないのだ。それが300ページ近く続くのは苦痛だ。
数年前から、シェルダンの衰えを漠然と感じていたのだが、この作品でそれを 確信したと言ってもいい。願わくば私のそんな思いを打ち消し、途中でやめら れないくらいの面白い作品を出し、読者を再び不眠症に悩ませて欲しいものだ。
2001年09月01日(土)
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