ほうじ茶飲話【JOYWOW】
2003年02月12日(水)
美を学ぶ
昨秋、とても楽しみにしていた特別展を見損なった。松屋銀座で二週間弱開催された「白洲正子の世界」。残念ながら存命中にお目にかかったことはないが、著書を読むごとにぐいぐいと惹かれていった。どうしても行きたかったのだが、なんとしても都合がつかなかった。
ところが、昨日出かけた百貨店の書店で、その特別展のために編集された冊子に出会った。新潮社から出ている「美の種まく人」。文章の数編は既読であるけれど、とにかく収録されている写真が美しい。ぱらぱらとめくっているだけで、惹きこまれてしまう。
若い頃には、傍にあっても見向きもしなかった工芸品やら古美術。むずかしい物だからと、遠い存在として区切っていた。あの頃に、白洲正子さんの著書を読んでも、きっと感銘は受けなかった。白洲さんの選ぶものは、いさぎよい美しさを感じさせるものが多い。鑑賞する側にも度量を要求する。
偶然惹き合った間(ま)。扉を開ければ、そこに新しい哲学が用意されている、ということなのか。年を経て、経験を重ねた。水戸黄門に感涙することもある(笑)。だからこそ、すんなりと、完成された美の世界へ傾倒できる・・・のかもしれない。
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