へそおもい

2008年11月20日(木) よこになるよっぱらい

駅のホームで
ねていた
みしらぬ美女を
介抱することになった。

美女は
「すいません
 大丈夫です」
といって

うっ

と口をおさえたので

ちょうどもっていた
紙袋をゲロ袋にあげた。

よっぱらいは
みんなおんなじだ。

大丈夫じゃないのに
大丈夫だっていう。

もうすぐ
駅員さんが
くるらしい
とのことだったので
それまでの時間

どこでのんでいたのですか?とか
おうちはどこなんですか?とか
きょうはこんなに
酔っ払うつもりはなかったんですとか
手をつないで
しゃべった。

つめたくて
ちっちゃな手だった。

そのうち
駅員さんが
車椅子をもってきて
美女はそれにのせられ
どこかにいってしまった。

またのみましょう!

っていいたくなった。
いわなかったけど。


むかし
わたしも
寒い日に
商店街で
ねたことがある。

身体が泥になって
地面がつめたかった。

夜明けに仕事をおえた
水商売のおばちゃんが
わたしをのぞきこんで

よっぱらったら
だれも
みんなおんなじねえ

っていった。

わたしは
おばちゃんの手をにぎって
いかないでって
いったけど

おばちゃんは

タクシーまたせてあるから
ごめんねえ

ってあたたかく言って
帰っていった。

あのときの
自分に
会ったような気持ちになって

あのときの
自分が
飢えていたものを
満たして
あげたくなって。

そんな
気持ちになる自分に
きがついて

もうとっくに
あの場所から
遠くにきていると
おもっていたのに。

あらあら
おまえさん
まだ
ここにいるのかい


ちょっと
びっくりした。


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はたさとみ [MAIL]

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