普通列車で実家に帰る途中、 琵琶湖をすぎて少しいくと 余呉湖という美しい湖がある。
その湖のある余呉駅に列車がとまると、 いつも列車からおりて その風景にとけこんでしまいたい 衝動にかられるのだ。
その話しを幼馴染みにすると、 そこは天女の羽衣伝説の湖だと 教えてくれた。
知れば知るほどいきたくなる場所。
その衝動を満たすために、 本日は相棒と余呉日帰りの旅。
のんびりと湖を眺めて散歩しよう、 …くらいにおもっていたのだが、 とんでもない、 体力勝負の激しい旅になってしまった。
今回は下調べをする時間もなかったので、 旅のコンセプトを、 “おすすめスポット採点めぐり” というものにしたのだ。
相棒とわたしが交互に 地元の人におすすめスポットをきいて その人にすすめられた場所にいく。 そしてそのスポットを採点。
点数の高いスポットを ききだした方が勝ちというものだ。
移動はレンタサイクル。
レンタサイクルやのおばさんの お勧めスポットからはじまり、 湖は一周した。 賎ヶ岳(片道40分くらい)にも登った。 湖畔のレストランでウナギをたべたし、 湖から10キロほどはなれた喫茶にも行った。 (すごい登り坂を慣れぬ自転車ではあはあ登った。) 御神木に手をあわせたし、 龍の目玉があたって欠けた石にも手をあわせた。 ダチョウのいる村にもいった。
今日イチニチで ちょっとした余呉博士気分である。
一番の高得点はダチョウであった。
ダチョウの村にいく道のりは 川と田んぼばかりで人気がなく 高い山はせまりくるし、 こんな遠くまできてしまって 帰れなくなったらどうしよう…などと、 途中で心細くなるほど。
やっと村をみつけ、 ゲートボールをしている ひとりのおじいさんに道をきくと わらわらと他のおじいさんたちがよってきて 口々に道を教えてくれた。
しかし それぞれ言ってる道順が微妙に違い、 しまいには我々そっちのけで おじいさん同士で言い合いになってしまう。 あっちが近いとか そこは工事してるからまわったほうがいいとか、 工事の人は自転車くらい通してくれるとか いやそんなことないよ、とか。
この光景どこかで経験したことが…とおもったら、 インドだった。 インドのリクシャー(人力車みたいの)のおじさんたちも 客のとりあいで、客そっちのけで いい争いをはじめていたっけ。
まあ なんとかダチョウ牧場にたどりつき ダチョウと談笑。
ダチョウはろくろ首宇宙人だった。 あと数cmでふれるところまで 顔に顔を近付けられた。
帰りにまたゲートボール場を通ったら おじいさんたちが手をふって いけたかー?とか 気をつけてなー!とか とおくからでっかい声で叫んでいる。
いけましたー!! ありがとうー!!
と大きく叫んで手をふってお別れをした。
村の小学生はすれ違うと挨拶をする。 みんな鞄に熊避けの鈴をつけていた。
小学校の校舎はピンクのペンキの木でできていて 昔ながら典型的なカタチでとても気に入った。
ここには不登校の子どもはいるのだろうか? みんなどんな遊びをしているのだろうか?
日暮れ前にやっと湖のところにもどって 電車の時間ぎりぎりまでゆっくりする。
空と山が湖にうつっていて不思議な色だった。 聞こえる音は 風や鳥など自然の雑音ばかり。 頭はピンと覚醒しているけれど 心はとろけるような感覚。
雲とゆうやけがからまって 羽衣がとんでいるみたいな空で ドキリとした。
天女が水浴びをしたり 龍がすんでいたり ほんとにそうでもおかしくない。
後ろ髪ひかれながら がらがらの電車にのると どっと疲れがでた。
相棒も電車にのってから ひどくしんどそうになり、 帰ったとたんに熱をだしてダウン。
体力的には過酷な旅だったが かなりエキサイティングであった。 こういうのまたやろう。
本日の結果は ダチョウをききだした私が優勝。
おめでとう。 おやすみ。
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