ある夏の暑い日、 仕事で知り合った人に言われた。
「うちの甥はね、山陰の方にすんでいるんですがね、 あなたそっくりなのですよ。 甥といいますから、 男性なんですけどね、 ホントホントそっくりなのですよ。 人間世界に3人同じ顔の人がいるっていいますがね、 きっとそのうちの一人だとおもいますよ。」
その人と会う度にその甥の話になってしまう。
この半年で集めたその人の甥情報から、 わたしとの共通点がいくつかあることが判明。 そのうち、その人と会う度に、 私とその甥との共通点探しになってくる。
年令が同じであること。 最近網膜剥離になったということ。 山あるきが好きなこと、 独身であること。
「いい顔して気もいい子なのですがね、 一つだけ心配なことがありまして… 独身なんですよ。」
「ああ、また似てる!わたしも同じ独身ですよ。」
そして、今日。
「ぜひ今度ゆっくりねえ、 お茶でものみながら、 甥の写真をみせたいとおもっておるのですが、 みてもらえませんかねえ…。」
「ええ!みせてくださいよ。ぜひぜひ! そんだけ似てるって不思議ですもん!」
…と、安請け合いしたものの。
あとからゆっくり考えて、 写真の件をどう捉えてよいのかわからなくなってしまった。
その人はただ、似ているのでおもしろいから わたしに写真をみせたいのだろうか? それならば、別にお茶などしなくても、 その場でみせてくれればいいものを。
それとも、 お見合いとかなんかそんなようなドキドキな ことを考えていたりするのだろうか?
うわー、それだったら、複雑だ。 もしももしも結婚したとしたら すごくすごく似たもの夫婦になってしまうではないか! 困った。
自意識過剰だろうか?
わたしもいっちょ前に 悩める20代後半の立春である。
それにしても、 わたしに似た人にはあってみたいものだ。 ドッペルゲンガー!
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