目覚まし時計に電池を入れて |
「顔色悪ぐね?どうしたの」 「エー?アハハ、色白って云って下さいヨ!」 なんて軽口を叩きながら、面談室に入った。待たされている間、何度も深呼吸して息を整える。昨夜はぐるぐるしながら結局一睡もできなかった。その上三日はろくに食わずに吐いてばかり。顔色の悪さなんてとっくに自覚している。口紅やチークがなければきっともっとひどい。なんとなく、その部屋の音が気になった。
「ぐるぐる」ってのは内面の問題もあるけれど、現実に眉間にあるはずの視界の軸がガクッとブレて、意識がのーみそからずり落ちそうになるのを、慌てて身体が追いかける、それを小刻みに繰り返している感じ。That’s 「ぐるぐる」。 困っているのは内面よりもこの外側に出る「ぐるぐる」です。内面はともかく、外側の「ぐるぐる」、どうにかならないものかなぁ。
しかしまずは「運転適正相談」。眼前の敵に集中する。 相談員の説明や世間話に相槌をうったり笑ったりしながら、音が気になっていた。妙に落ち着かなくて、渡された紙を読むふりをしながら、なんとなく音の出所を探ってみる。意外に容易にそれはみつかった。 壁時計!秒針付き! うっわ、ニガテなんだ、アレ。 しかも最悪なことに、0.5秒で刻むタイプ!(元職場にあったやつと同じ) ギャフン!天敵! 鼓動が早まる。冷や汗が伝う。ペンを持つ手が震える。吐気がこみ上げる。 元職場の事務所。深夜ひとりきり。書類が山積するマイデスク。あの気分。 なにも音出さなくてもいいのにサ〜…(撃沈)。 相談員のオジサマの娘自慢がもうあと1分でも長かったら、間違いなく取り繕っていた仮面は音をたてて崩れていた。やっとこさこぎつけた「許可」も取り消されていたかも知れない。部屋を出るなりトイレに走り、胃液を吐いた。 まあ、でも、なんとか、とりあえず、幸か不幸か、パスしました。 明日から教習が始まります。ふひぃー。 なんか結構…思ったよりギリギリだなぁ…。自分ではいつでも社会に戻れるような気でいたけれど、あんなんがアチコチに転がってるんじゃ油断ならん。社会ってどこもあのペースなのかなぁ。職場はひとつしか知らないけれども。 でも動きますよ!戻りますよ!のんびり期間も終了ですよ! 当面の目標は今月中に運転免許取得、です。 目覚まし時計に電池を入れて、秒針の音に少し慣れよう。
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2005年05月10日(火)
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