惚れていない

 どうにもそんな気分になれない。
 オトコマエで、話も面白くて、一緒にいるのは楽しくても。
 触れたいと思わない。
 寝たいと思わない。
 永遠に一緒にいたいわけじゃない。

 つまり、惚れていない…?


 以前だれかを好きだったときは、頭でもなく、心でもなく
 ただ心臓が痛かった。
 「胸が痛い」なんてものじゃない。
 なんの比喩でもなく、ただ、ほんとうに心臓が痛んだ。

 メリットなんてない。
 冷静に考えれば、やめておいたほうがいい。
 それでも現実にこの心臓が痛いのだから、どうしようもないのだと思った。
 自覚してからは触れたかったし、触れると尚痛くて困った。


 制御不可能なあの痛みがない。
 そばにいて楽しいし嬉しいけれど
 惚れていないのだ。

 私の世界は、まだ私で完結している。
2003年09月18日(木)

メイテイノテイ / チドリアシ

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