魔法の手

 水曜の「人間風車」は、午後から周囲の方に迷惑をおかけする可能性が濃厚になった為、やむなく断念致しました。
 が、今日は調子がよく、木下伸市さんのライブに無事行けることができました。

 会場は若い人も随分多かったのだけど、中高年が圧倒的多数を占め、こんな客層の興行に来ることはあまりないなぁ、などと感動してしまいました。



 さて、「木下伸市 ソロ&フュージョン」と題したこのライブ。
 2部構成で、1部では大條和雄さん(津軽三味線歴史研究家)の解説とソロの伝統的な曲を、2部ではパーカッションと尺八等を加えた「ツガル・フュージョン」を演奏してくれました。
 アルバムで云えば、1部が「傳」、2部が「魁」というわけですね。

 1部のソロも勿論素晴らしかったのだけど、2部では更に圧倒されました。
 海沼正利さん(パーカッション)も佐藤英史さん(尺八と笛)も、素晴らしいソリストだと思われ、2部最後の曲「SHI-BU-KI」は特に凄まじく、何度も泣きそうになりました。

 脇腹や背筋、上腕などに粟立つものを覚え、それが拡散していって内臓に至り、やがて体中に満ち満ちる感覚。
 この感覚は音楽に執着を持つ者なら誰でも経験があると思いますが、それがとりわけ強く感じ取れる。ライブは素敵だ。


 津軽三味線という音楽は、実は現代的な音楽なのではないか、と思いました。
 「傳」というタイトルのアルバムに収録された、よされ節やじょんから節も、こうして聴くととても現代的。
 ううん、「現代的」というよりは、土着的なんだけど…うーん、POPSという感じ!
 ワタシに「POPS」とはナンゾヤなど定義しようもないのですが。

 前の席のおじさんは髪を振り乱さんばかりに頭を振ってリズムを取っているし、その隣のおじさん二人組は演奏中にワンカップを取り出して一杯やりだすし。オイオイ、ここはどこだ、民謡酒場か?というノリです。

 「よッ!伸ちゃん、日本一!」の声に、照れ笑いする木下さんが可愛い。
 地吹雪を思わせるような演奏の凄まじさとは対照的に、物腰が柔らかで穏やかに話す。木下さんは素敵だ。




 公演終了後のサイン会で、持参したアルバム「魁」に、ツレにこの日ロビーで購入した「遭遇 KINOSITA MEETS LAKATOS」(なんとあのロビー・ラカトシュとのコラボレーション!)を持たせて、サインしてもらいました。
 図らずも握手までして頂いたのですが。
 ねーねー、ヘタしたらおいらより手が小さいかも知れないンですけど…。

 木下さん。
 あなたは海沼さんの手を「魔法の手」だと云ったけど(そしてそれに異存などあろうはずもないけれど)。
 あなたの手こそ、魔法の手だ。
 素敵な素晴らしい魔法の手だ。
2003年02月01日(土)

メイテイノテイ / チドリアシ

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