決して読書家ではないけれど

 夏になると本が読みたくなる。
 冷房の効いていない喫茶店や図書館で、一日中本が読みたくなる。


 学校の図書室のリノリウムの床を思い出す。
 ジョーゼットの長いチマのまま、そのひんやりとした床にじかに座り、カバーのなくなった岩波文庫が並ぶ棚にもたれて、よく本を読んだ。
 部屋自体は決して涼しいわけではなく、じっとしていても汗ばんできたけれど、開け放たれた窓からは、いつも心地よい風が吹いていた。


 中高6年のうちの5年間、図書委員だった。
 未返却者を書き出して掲示したり、貸し出しカードをつくったり、ISBN番号を検索したり、そんなこまごまとした雑事は決して好きではなかったけど、図書室は好きだった。


 夏になるとあの図書室を思い出す。
 そして無性に本が読みたくなる。
2002年07月09日(火)

メイテイノテイ / チドリアシ

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