2003年03月29日(土) |
『華と修羅』(佐為小ネタ) |
あかき葉影の間より しろき花こそ咲きそむる 山の花こそ今ははや
風もなきに ひとひら 音もなしに ひとひら 散りゆくは花 愛で惜しむ心は人のみか
人は知るらむ 山にます 隠れ居ましぬ もののある 花は季に添ひ 咲くものを その季のうつろひ とどめおき 変はらぬその身は たれゆゑに 花のもとにて 其は居りましぬ
花のもとには 何ぞます 花のもとには オニとひと ひとは散りゆく花の下 我と我が身の姿をうつし 眞たがわぬ己の姿 まなこに映して震ふなる 鬼の姿は ここにあり オニは微笑み その様を 眺めて居ますばかりなり
あかき葉影の間より しろき花こそ 愛しけれ 花を愛で居るその姿 姿はやさし 白の衣 扇持つ手もなよやかに
げに恐ろしやな 修羅の坐す
天女の如きその面
げに恐ろしやな 修羅の舞ふ
碁の道行のその果ての
あさましやな かなしやな
哀しかりとて 修羅は舞ふ
碁の道行のその末に
天にぞあがりゆくべしと
そのしうちゃくぞ 恐ろしや
その美はしの面をや
花の下にぞ 修羅の住む
花より艶し 華のます
季に背きつつ 華は坐す 次なる修羅を 華は待つ
華の居ましし 花の下 惜しめや春を 幼子の 花を踏めやなう 修羅が坐すぞな
花が散るやなう 華が笑むぞな
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