紫
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「最近の蝉は、人が通っても逃げないなぁ」
蝉取り名人の母が言いました。
「昔の蝉は、少しでも近づいたら、ぴゅっとおしっこをかけて飛んでったのになぁ」
母が子どものころは、虫取り網なんてありませんでした。
いえ、あったのでしょうが、母の住んでいたところは、山のてっぺんの小さな村だったので、すぐには買いにいけません。
子どもは自分たちの遊び道具を自分たちで作っていました。
「家にある針金でまーるいわっかを作ってね。それを細い竹の先に結びつけるねん」
なるほど。
わっかのところに網をくくりつけて虫取り網にするのかな?
「そのわっかのところに、大きなクモの巣を見つけてきて、くっつけるねん」
!!
クモの巣が網代わり?!
その手作り網で、母は蝉取り名人になったそうです。
壊された巣の主(あるじ)も、自分の吐いた糸を本来の目的どおりに使ってもらって本望だったことでしょう。
現代の蝉は、そんな小道具を使わなくても、すぐにつかまりそうですね。
おやすみ。
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