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2003年03月17日(月) 知る人たち

この間買った淡い空色の自転車に乗って、近所の銭湯まで行きました。
いつもは車に乗せてもらって行くのですが、今日からは一人で行けます。なんとなくウキウキしながら、普段は曲がったことのない曲がり角で曲がってみたり、わざとゆっくりと走らせて車の中からしか見たことがなかった街並みを愉しんだりして、銭湯まで行きました。

自転車に乗って、街をうろちょろしていると、その街の「住人」になった気分になります。
学生時代も、自転車で銭湯まで通っていました。
車ではあまり入らない細い路地でちょっと迷子になったり、花がたくさん咲いている抜け道を発見したり。
ちょっと特徴のある家の前は必ず通るようにしたり、エアコンがないのかいつも夏場は窓を開けっ放しで夕食を食べていた一つの家族を横目で眺めたり。

自転車に乗りながらその街をじっくり見ていくことで、よそ者の私も「街」に受け入れてもらっているような気がしていました。
それでも、ときどき、「本当は、この街に知っている人は誰もいないんだ」という事実に気がつきます。
そんなときは、わざと遠回りをして帰ります。泣き顔のまま、誰もいない部屋に帰るのは「禁忌」だと思ったからです。

そんなことを思い出しながら、淡い空色の自転車を銭湯の脇に止めて、浴場のドアを開けました。

「あっ!」

「あ…」

そこには、私の知る人たちがいました。
こみあげてくるうれしさをひたすら隠して、湯船につかり天井を見上げました。
それでも少し、ほんの少しだけお湯をしょっぱくしてしまったことを、銭湯のおばさんに心のなかで謝りながら、いつものように早風呂を貫きましたとさ。

おやすみ。


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