椰子の実日記【JOYWOW】
2007年01月29日(月)
『天国と地獄』(1963年作品)
昨日のオフは、結局リビングでずっとテレビを 見て過ごした。
ぼんやりチャンネルをザッピングしていたら、 黒澤監督『天国と地獄』。既に30分経っていたが 以前観た映画と思い、再見しよう。
観ているうちに、初めてであることに気づいた。
電車内での犯人とのやりとり、1963年当時の 横浜近郊の空気、など、興味深く、ぐいぐい、 ひきこまれてしまった。
作品のテーマはタイトル通りなのだが、 犯人の動機となった格差、映画公開時1963年には 「明確に・ハッキリと」あった。
いやらしいのは、2007年の現代、その格差が あいまいで、ヴェールにくるまれてしまって 確かに存在するのに、しないかのように 見えることだ。
だとするならば、この映画の描き出す悲劇以上の 悲劇が、現代の日本社会にも厳として存在する のだ。富める者、貧しき者、いずれが天国か、 地獄か。単純な二者択一ではないこと、まさに そのことが、この映画のテーマであり、黒澤監督の 主張なのだろう。
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