株式会社JOYWOW
椰子の実日記【JOYWOW】
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2006年03月03日(金)


「第1感」

昨日のクーロス像にまつわる話。
「買わないか」とオファされたとき、美術館側は
当然のことだが、学術調査をした。カリフォルニア大学の
地質学者スタンリー・マーゴリスが高解像度の立体顕微鏡を
使い、二日がかりで彫像の表面を精査した。右の膝下から
直径1cm、長さ2cmほどのサンプルを採取、電子顕微鏡、
質量解析機、X線回折などのハイテク検査をした。
結果、データは、彫像が本物だと示した。

ところが。

ゲッティ美術館評議員であり美術史家フェデリコ・ゼリ
「爪がヘンだ。理由はわからないが」

古代ギリシャの彫刻の専門家イブリン・ハリソン
「何かがおかしい。これを買うことになったとは、
お気の毒に」

メトロポリタン美術館元館長トマス・ホービングは
初めて目にする美術品を見たとき、最初に浮かんだ
言葉をメモする習慣があった。彼がメモした言葉は
「新しい」

のちにホービングはこう語っている。
「なんだか、スターバックスのカフェラテに漬け込ん
であったように思った」

アテネ考古学会会長ゲオルギオス・デリボリアス
「初めて見た瞬間、なんだかガラス越しに見てる
ような感じがした」

これらすべては人間のもっている適応性無意識の
力のなせる技である。アタマだけで考えていると
ロクなことにならない。そして、意識の営みは
分厚い報告書になるが、無意識は「ような氣がする」
といった、およそまじめな会議には使えない言葉に
しかならない。ここが落とし穴になる。

以上、とっても面白い本から引用しました。
その本というのは
マルコム・グラッドウェル『第1感』
光文社から翻訳が出ています。

 

Kei Sakamoto |株式会社JOYWOW