椰子の実日記【JOYWOW】
2004年01月12日(月)
智に働けば
日本語について、考えている。
現在、翻訳の校正の最終仕上げにかかっている。 翻訳に限らず、著作はすべて校正者と編集者の 朱が加わる。著作の著者の欄には、ぼくの名前が 掲載されるが、実際は三者のプロジェクトの結果 なのである。そしてこれは世に出ている本すべてが そうだ。翻訳とはいえ、日本語の責任はぼくにある ので、著者と同じである。
ぼくがこだわって使う言葉や言い回しがある。 たとえば、「いただく」はひらがなの「いただく」 でもなく、「頂く」でもなく、「戴く」。 「いやな」は「嫌な」ではなく「厭な」。 「ちえ」は、文脈によって「智慧」であったり 「知恵」であったり使い分ける。
しかしぼくが書いているのはビジネス書である。 社会通念や国語の潮の流れ、そしてビジネス書の 読者を勘案して、校正者や編集者はある一定の きまりのもとに、修正する。 版元各社それぞれで違う社内規定も朱筆を加う。
文学書の場合は、著者の裁量が最大なのだろうが、 ビジネス書の場合、著者はあまり強くない。ついでに 印税も安い(笑)。 こうして、「こだわった言葉」や「言葉への意志」 が消えていくのかもしれない。著者として、どこまで 「我」を通すか。微妙なバランスの上に、いま、ぼくは 立っている。
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