Kin-SMA放言
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2005年02月10日(木) 普通にミュージカル

本日は『ネバ ゴナ ダンス(NEVER GONNA DANCE)』←正式表記はカタカナなのか? アルファベットなのか?(東京国際フォーラム ホールC)

この作品については、アステア&ロジャーズの『有頂天時代(SWING TIME)』が基になってるということしか知らず。

もちろん『有頂天時代』はビデオで観ています。フレッド・アステアの洒脱とジンジャー・ロジャーズのシャープな可愛さがたっぷり詰まった娯楽作。ストーリーはお約束どおりのハッピーエンド(笑)・・・でもミュージカルとしてはいかにも30年代の古さで、今の観客にはコクがなさすぎるんじゃないだろうか? ひたすら出演者(坂本くんとまひる嬢のことよ)のダンス力次第じゃないだろうか、と思って行った。

そしたら、お二人のダンス力は予想以上のクオリティで申し分なし、さらにストーリーも原作(?)以上にキュートで粋な快作でした。『有頂天時代』はあくまで“基”で、ブロードウェイ・ミュージカルに改変されるにあたって、楽曲も追加になってるしストーリーも少し作り変えてあるらしい。すばるが演じた役「スパッド」も、この舞台化にあたって追加された役なのだった。

全体的な雰囲気としては、ケーコ先生(植田景子)が演出したのもあってか、多分にタカラヅカっぽい。『ヴェロニック』とか『オクラホマ!』みたいに、バウホールでやりそうな感じの作品。

前々日に、いかにも90年代的な『エリザベート』を観て、いきなし30年代の暢気な(大恐慌後のアメリカだから、暢気とは言えないか)時代のミュージカルなんて、ふやけた印象にならないかなー? と心配だったのだけど、結局この作品『NEVER GONNA DANCE』自体は一昨年にブロードウェイで作られたものなのである。ちゃんと21世紀的スピリッツが息づいている(物語自体は1936年のニューヨークだけどね)


主役のジョン“ラッキー”ガーネットは坂本くん。今さらぼくが言うまでもなく、舞台に立ってる彼は、完全に良い方の意味で「ジャニーズの人だと思っちゃいけない」

日本演劇界の、屈指の実力派男優である。タップは今回初めて本格的にやったらしいが、全く危なげがなく、ボールルームダンスも動きが大きくて素晴らしかった。しかも、ただ踊ってるだけじゃなく、表現力も確か。

それと彼は唄が上手いのも周知だが、いわゆる「劇団○季上がり」風の朗々としたテナーじゃなくて、普通にくせのない上手さなので、むしろ“ミュージカルアレルギー”の人にはすごくいいと思う。

ただ、最後に落として申し訳ないが、それだけ彼にはアクがないので、他のジャニーズの人たちにある、「技術的には色々文句言いたいんだけど、やっぱそのスター性の前にはひれ伏さざるを得ない」感じが希薄。坂本くんファンの方には石投げられそうだけど、ぼくから見ると、多少オーラが薄い感じがした。出てきた瞬間“ワッ!”と思わせるものが、足りないのだ。


ヒロインのペニー・キャロル=紺野まひる。まひるってこんなに踊れたの?! って言うのが最大の感想(笑)

タカラヅカ時代は、ひたすら“個性的な娘役”という印象しかなかったからね。

ただペニーは、まひるが不得意だった(笑)おしとやかな大人の女性じゃなく、多少気の強いお嬢さん。恋には奥手だけど、言うことははっきり言うところはまひるに合ってた。

ただ、ナンバーの唄い出しの声を聴くと、ぼくは「(森奈)みはるちゃんで観たかったかも」としばしば思っちゃった、ごめんねまひるちゃん。

・・・つうか、この作品、ヤンさん時代の花組で観たかったなー(時間軸的に不可能だが)

ミキちゃんのリカルドなんて、サイコーだったと思うぞ(爆)


そのリカルドは、映画の方がおいしい役に思った。ミュージカル版というか今回の赤坂(泰彦)さんは、多少道化が過ぎる。つうか、単なるふられ役のおっさん(毒)

ラッキーの恋敵なんだから、もうちょっと若い方が良かったのに。

あと、赤坂さん歌が下手(←おっさんには遠慮しないなぁ)


映画では単なるオバチャンのメイベルは、「宝塚のフレッド・アステア」だった(笑)なーちゃん(大浦みずき)

ミュージカル版ではちゃんと恋をする色気のある女性。それに、2幕冒頭の“Shimmy With Me”ではダンスリーダーも務めるおいしい役であります。もう貫禄充分で、言うことなし。


そのメイベルと恋におちるモーガンサルは三田村邦彦。最初誰か分かんなかった。

この人とミュージカルって何か結びつかないが、よく考えると日本版『ブラッドブラザーズ』の初代エディなんだよな(それ以外は知らない(^^ゞ)

でも今回はたいした歌もダンスもなし。ひたすらお芝居の方でがんばっていらっしゃいました。


さて、ラッキーとペニーの前に立ちはだかる(?)ダンスのライバル、スパッド&ヴェルマ。

すばるが出てきた瞬間、『WEST SIDE STORY』でのあつくん(as チノ)にそっくりで、ぼくの中だけで大爆笑(←注 ぼくは嬉しいと爆笑するクセあり)

ちっちゃくて、ネコ科の凶暴さをまとった美少年。ぼくのオトコの好みを完璧クリア。お持ち帰りしたくなった(≧∇≦)

そこをぐっとこらえて(そうしろ)じっと観察すると、ダンスはしゃかりき(コロンブス/笑)に踊っていたが、パートナーのヴェルマ(藤林美沙嬢)についてくのがいっぱいいっぱい。残念ながら。

後半の唄も、彼の唄はしょせん自己流なのか低音に力がなく、オクターブが上がってやっと「すばるの声だ」と認識できたぐらいの感じ。

トラックの荷台から砂利ぶちまけられるのを覚悟で言うと、ジャニ舞台(『Sxxxx』とか『Dxxxx Bxx』とか ← 今さらの伏せ字)ならその程度でも通用したが、本当の“ミュージカル”ではそんなんじゃ全然ダメ、これをきっかけに本気出して勉強しなよ、ってところ。

ただ気になるのは、すばる本人はこういった感じの世界(オーソドックスなミュージカル)を果たして目指してるのかどうかってこと。今回は単に勉強のために出たのかなーって気がしてるので。

「ジャニーズの人」と一口に言っても、赤坂晃とか坂本昌行とかは、明らかにクラシックな舞台人を目指してるのが分かるし。そういう人たちのラインにすばるはいないんじゃないかって気がする(かといって、似てるとはいえ佐藤アツヒロとも違う気がするし、はたまた堂本剛ラインでもないし。まだよく分からん、というのがぼくの感想)

つよっさんの『花影の花』みたいに、「あー、あったねーそんなことが」みたいな思い出の1ページになっちゃうんだろうか、てな気もした。いや、未来は分からんけどさ。


他に特筆すべき方と言うと、ダンス教室のオーナー・ミスターパンボーンの治パパ(治田敦)。まー、オカマキャラって概して得な役だからねー(こら)

もう一人は、ラッキーの婚約者・マーガレットの秋山エリサ。そう、アッキーの妹です。もー、申し訳ないけど、彼女が出てきた瞬間も大爆笑(これは嬉しいからじゃなく、純粋に爆笑☆\(−−;)コラ

そっくり(≧∇≦)

誰にって? 決まってるでしょ〜?

もーおかしくておかしくて。よく坂本くんは耐えられたなーと(当たり前じゃ!)

でも、めっちゃ舞台女優に向いたお顔です(^^ゞ 今回は唄がなかったんで(ダンスはフィナーレでタップをご披露)今後何かの舞台でお目にかかれることを楽しみにしたいと思います。



以上、ネバゴナダンス感想でした。本日のテレビの感想は、小休憩してまた後ほど。


ておどる 【2006年以降に書いた日記はこちら】てくてくミーハー道場