Kin-SMA放言
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2003年03月07日(金) またまたヒナ祭り(今度はまじで!)

今日はタイトル負けじゃ、ないよ!

観てきました『フォーティンブラス』(東京グローブ座)

トニセン“愛の”3部作の中でこれだけ唯一観たのは、別に他意があるわけではなく(『シェルブールの雨傘』も、ゆりちゃん(星奈優里)が出ると知ってたら、行くんだった〜! もう遅いが)、たまたま追加公演のチケットが手に入っただけ。



『フォーティンブラス』は、昔、善人会議時代の初演を“NHKの中継で”観ただけで、ツヨぽんバージョン(オリジナルスマイル)も、扉座の再演も観ていない。

横内さん、嫌いではないんだけど、あんまり積極的には見に行かない。気付くと横内脚本だった、てのは多いな。

いよっ、巨匠!

・・・ここでおべっか言ってどうする。




実は、上記のようなわけで、ぼくは今回、ストーリーをまるっきり忘れて観に行った。初見と同じ気持ちで観られたのは、幸福だったと思う。

そして、

ヒナが、良かったんだよう〜!(>_<。)

もっすご、良かったんだよう〜〜〜!


あぁ〜〜、ネタバレできないのが悔しい!

タイトルロール(主役)は確かにピロシです。これは間違いありません。

差し支えない程度にストーリーをばらすと、ピロシは『ハムレット』の中で、2回しか出てこない超チョイ役“フォーティンブラス”を演じている売れない役者・羽沢武年。ヒナも同じ芝居で、最後の方しか出てこないチョイ役“オズリック”を演じている駆け出し役者・岸川和馬。
ただ、武年は自分のその境遇に嫌気がさしていて、あんまりやる気がないのに対し、和馬は、どんな小さな役でもまじめに演じている、という点で、二人は少し違う。

そして横暴な“ハムレット”役の座長・サミーこと黒沢正美(京晋佑。京ちゃんは「女にだらしない役」をさせると天下一品だぁ!←褒めてるのだよ)は、刃物系の小道具を手にすると動けなくなるというトラウマを抱えている。

そのトラウマを作った原因が、彼を傍若無人にさせているんだが、とにかくまともに芝居をする気がないので、周りからは総スカンを食ってる。

とにかく彼のせいで、やっとフォーティンブラスの出番である最後のハムレットとレアティーズの決闘シーンなんか、いつもめちゃくちゃ状態。

これも、武年の憤懣のタネ。



で、チラシなどでおわかりのように、ある夜この劇場に、「フォーティンブラスの父親の幽霊」(木下浩之さん。最初誰だかわからんかった・・・すまん)が出て、フォーティンブラス役の武年を、励ます。

「宿敵ハムレットを倒せ!」

と。

ところがこの霊は、実は和馬にも深〜い縁があったりなんかして・・・

この先がネタバレになってしまうんだが、この霊がさんざん役者たちの気持ちをかき回して、少しずつ状況を変えていく中で、最後に、こいつが“息子”に(ちょっとネタバレ)向かって言うせりふを聞いているときの、ヒナの表情が絶品だったのだ。



何か「この芝居、ピロシがタイトルロールだけど、実質ヒナが演ってる和馬の方が主人公じゃないのか?」と思うくらい、和馬っていい役だし、ヒナもその和馬役を抜群にすてきに演じていた。

ここで、横内脚本のすばらしいところは、和馬じゃなく武年をフォーティンブラス役にすることで、いっそう和馬の悩みを浮き彫りにし、救いを与える効果を出していたこと。

そして、やっぱり武年本人も、本当はなんの縁もない(あ、またネタバレ)この霊に励まされ、最後の最後に、むちゃくちゃかっこいいフォーティンブラスを演じて(ここのピロシ、ほんとにカッコ良かった!)幕が下りるのである。

やはりタイトルは『フォーティンブラス』なのである。

そしてこの“フォーティンブラス”という名前は、武年の役、というものにとどまらず、いわゆる「チョイ役代表」のメタファーとして使われている。

「これからこの世界を背負って立っていく若者」の象徴として“フォーティンブラス”の名前を使っているのだ。




こういう「青春へのオマージュ」ってのが横内さんは得意で、実はぼくは、こっぱずかしくてあんまり好きじゃない(^^ゞ

ここが、ぼくがあまり扉座を観ない理由でもあるんだが。

ただ、ちょっとひいき目かも知れないが、こういう「青春へのオマージュ」系の芝居をやるとしたら、今日本で一番ふさわしいのがジャニーズの面々ではないのだろうかと思える。

中でも最もふさわしいのが、「青春へのオマージュ」系担当とも言えるV6だろう。

今回あからさまに主題歌として使われていたわけではないのだが、ラストシーンに流れる「Believe Your Smile」を聴いて、まるであつらえたようにこの芝居にぴったりな曲だと感動した。
(本当はニノ主演の『ただいま放課後』の主題歌だったっけね)



ただ、脚本&演出全てが良かったわけではなく、正美の「いやなヤツぶり」が類型的に過ぎたのと、恵子のセリフで、
「私はここを出たら、行くところがない。デ○ーズの店員になるしかない」
みたいなのがあって、
「それはデ○ーズの店員に失礼なんじゃないか?!」
と思ったことを付け加えとく。




さて、ピロシ、ヒナ、京ちゃん、木下さんの他にぼくが気になった役者というと、まず山川恵理佳。



CMタレント上がりのバラドルで、この『ハムレット』が初舞台、という山川に当て書きしたような役。

テレビで観る山川とまず違ったのが、声。

あのしゃべり方はバラエティ用なんだな、と分かる、低めに抑えた滑舌の良いセリフ回しで、ますますこの刈谷ひろみという役が山川本人とダブる(ま、ところどころパターン化していたところも、なくはなかったが)

“舞台で演劇の神様に会った”後、引っ込んでくるひろみが、自分の手を見て「あ、血だ」って言うところなんか、サイコーだった。

これを見てぼくは、山川って、すごいクレバーなコなんだって思った。

・・・なーんて、もしかして横内(脚本)&岡村(演出)にまんまとだまされたのかも知れないが、そんならそれで気持ちよくだまされましょうってほど、魅力的なできばえだった。



和馬の恋人・恵子役を演った西山繭子。

ぼくはこのコ、初見。

セリフ言うとき、ずっと“小劇場立ち”(笑/ニュアンス、わかるかなぁ〜?)してるので、「なんだかなぁ、このコ」と思ってしまい、そのマイナス点がずっとあとを引いてしまった。惜しい。

でも、多いんだよなぁ、“小劇場立ち”する若い女優って。・・・これだけは何とかしてほしい。
こないだの『透明人間の蒸気(ゆげ)』でも、ぼくの敬愛する(*^^*)小西真奈美ちゃんにしてからが、この立ち方してるんで、ちょっとがっかりしたもん。『蒲田行進曲』では良かったのになぁ・・・

話がそれました。

ただ西山嬢、声がやはり良い(ホント、役者は一声二姿とはよく言ったもんだ)。泣きわめくようなシーンでも、神経に障るような感じがなかったのが良かった。



円城寺あやさん。

もう何も言う必要はございません。

ぼくは昔、上杉祥三さん主宰のBroken(暴君)シリーズで『ハムレット』をやったときに、あやさんがホレイショー役を演ったのを観ている。

ふっふっふ(以上、イヤミな自慢でした)



さて、ここからが本編 う゛そっ?! まじでか?(笑)

今日は追加公演で、カメラも入っていた。

そんなわけでおまけがあったのだ。

実は「ネットとかでバラしちゃダメだぞ」とクギを刺されたのだ(笑)

でもバラしちゃう(おいおい・・・)

終演後、『その後のフォーティンブラス〜オズリックの逆襲〜』(笑)と題した特別公演が上演されたのだ\(^^)/


何年か後、登場人物たちの境遇も変わって・・・という設定で、

恵子は和馬とよりを戻したはずなのに、なんと▲▲と○○してて、

和馬は△△の付き人になっちゃってて、

武年は××××になってて(オイッ、伏字ばっかで安いエロ小説みたいじゃないか!)

・・・という状況の下(反省してない)、ピロシが“本物の「MADE IN JAPAN」”をヒナと一緒に踊ったのだ(狂喜vvv)



「今日だけ特別」とか言ってたが、ホントかなぁ〜?(中年は疑り深い)

今後『フォーティンブラス』をご覧になった方の、レポを楽しみにしていよう。



かくして、たいへん満足度の高い舞台だったのだが、




←これはちょっと納得いかない



まさか、ジャニーズだから・・・?


ておどる 【2006年以降に書いた日記はこちら】てくてくミーハー道場