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サンジちゃんに癒されたい小咄
2010年12月15日(水)

 開店準備を済ませ、戦い開始までに少々休憩と、サンジは今日も店に入り浸っているウソップと二人、スツールに腰掛けてコーザが入れてくれたコーヒーを飲んでいた。
 そんなつかの間の休息を破る様に、ドアベルが騒々しく鳴った。準備中の札が下がっているはずのドアに皆一斉に目を向ければ、そこには何やら疲れた顔のエースが立っていた。
「エース、どうしたんだ、今日は一日忙しいって…」
 腰掛けていたスチールから立ち上がるサンジに向かって、エースはずんずんと歩み寄ると、がばっと恋人の身体を抱きしめた。
「ちょ…こら、エース!」
 コーザとウソップの目を気にしたサンジが身をよじって逃れようとするが、ぎゅうぎゅうと締め付けるごつい腕に身動きすらままならない。
「あ〜〜〜〜……」
 サンジの抵抗などものともせずに、エースはまるで風呂に浸かったおっさんみたいな声を上げる。のっしりと大きな身体に体重をかけられてヨタヨタしながらも、その力ないと言うか、妙に呆けた声が気になったサンジは、今度は逃れるためでなく、エースの様子を確かめようと身体を離そうとするが、男の腕は少しも緩まない。
 今日、エースは仕事上でのトラブルで一日飛び回っていたはずだ。エースは輸入雑貨を扱う店の店主だ。ところが先だってヨーロッパのどこかで火山が噴火したせいで飛行機が飛ばず、取引先から空輸されるはずの商品が届かずに、得意先への納品スケジュールが狂っていた。ようやく昨日商品が届いたのはいいが、一部の荷物が行方不明になっていた。おかげでエースは昨日から今日の早朝まであちこちに国際電話をかけ、税関まで赴き、得意先を回って遅れた商品の納品をし、それができない相手には事情を説明し、手持ちの商品で代わりになるものがあればとサンプルを持参し…と目の回るような忙しさ…のはず。
「エース、大丈夫か?」
「んんん〜」
 事情を知っているだけに、得意先とトラブルにでもなったかと心配するサンジをよそに、エースはまともに返事もせずに、サンジのうなじに顔を擦り付けながら、すんすんと鼻を鳴らしている。
「おーい、ここでおっぱじめんなよ、やんなら控え室に行け」
「うっせ、ウソップ!」
 何やら冷めた声でヤジ(?)を飛ばすウソップにガラ悪く吠えた後、サンジは打って変わって気遣うような声でエースに声をかける。
「仕事、なんかあった?」
「あったと言えばあったし、ないといえばない」
 上の空といった様子でよくわからないことを言いながら、エースはサンジの背をしっかりと抱いたまま、髪やら頬やら首元やらにキスを落とす。
「大丈夫、エッチな事しないから」
 そんな事を言われてサンジは耳まで赤くなる。だけど、確かに今のエースにはそういう性的な雰囲気などみじんも無く(あっても困るけど)、どちらかというと、大型犬…いや、ヨタヨタしてるサンジに大きな身体で容赦なく甘えてのしかかる様子は、クマだ、まるでクマの子供のよう。
 本気で心配になってきたサンジは、なんとか二人の身体の間から引っこ抜いた両手でエースの頬を挟んで顔を覗き込む。日頃から恥ずかしげもなく褒め讃えている青い瞳にじっと見つめられて、エースの顔がふにゃりと崩れた。
「サンジ〜〜〜〜〜〜」
「ぐっ…ちょ…エース、くるし…っ!」
 まるで締め上げるみたいにぎゅうぎゅうと抱きしめられて、サンジがひしゃげた声を上げる。それでもエースの腕は緩む事はなくて、もう諦めたサンジは、くったりと力を抜いて恋人の好きにさせる事にした。困惑した顔のまま。
「―――よっし、充電完了!」
「…は?」
 サンジの両肩を掴んで、エースは唐突にがばりと身体を離した。
「ありがとなサンジ、愛してる!」
 ちゅ、と唇にキスをして、エースは呆然と立ち尽くすサンジを残し、「やべえ、遅刻する!」と来たときと同様にバタバタと慌ただしく去って行った。
「……充電切れだったのか」
 カウンターに肘を付いて、ウソップ。
「……俺もオーナーに充電してもらおっかな〜」
 そんなコーザの声が聞こえたかのように、たった今閉まったばかりのドアが開かれて、エースが顔だけ覗かせる。
「コーザ、お前はマネすんなよ」
 しっかりと釘をさして再び消えたエースに、サンジは「頑張れよ〜」と、未だ状況が理解できないなりに励ましの声をかけた。まあ、バタン、ガンと騒々しくバンに乗り込んで行ったエースには聞こえていなかっただろうけれども。

    ◇

matter小咄。私がサンジちゃんに癒されたくて書いた、ただそれだけの話。通勤電車の中、携帯でポチポチと打ちましたよ。

そういえば、使えねー上司のおかげで会社からツイッターにグチを垂れ流し、サンジちゃんの腹に顔を埋めたいとかアホな妄想を呟いていたら、どうやら同じくアホな上司にキレてたメリッサさんも、サンジちゃんとエースのスケートデート妄想で自分を慰めていたらしいですよ。

ノース出身のサンジちゃんが、初めてのアイススケートに生まれたての子鹿状態でプルプルしてるエースの手を後ろ向きで滑りながら引っ張ってあげるんですって!ぎゃー!可愛い!!

冬の妖精、雪の中の天使のサンジちゃん、白いニット帽とお揃いの白のミトンで、エース頑張れ!って笑って両手を差し出すのね。ただでさえ運動神経が尋常じゃないエース、そんなサンジちゃんを捕まえるべく、あっという間に上達ですよ。

あー、可愛い!仕事中に二人で盛り上がって、おかげで嫌な事も忘れてすっかりご機嫌になりましたよ(単純)。

スケートって言えば、フィギュアスケーターのエースもいい。

ガブはフィギュアはロシアあたりのバレエ系が好きなのだけれども、エースなら体操系でも許す。もう動きとかキレまくってて、ジャンプなんてアホみたいに高いのね。多分5回転とかできるよ。そんで、「氷上のフェロモン」とか名付けられちゃうの。演技中に審査員に向かって投げキスとかウィンクとかしちゃって、女性審査員にも絶大な人気。

ある程度アマチュアの大会でメダル取りまくったら、プロに転向するといい。
衣装とか小道具とかかなり自由だから、もうやりたいだけやればいい。
そんで、サンジちゃんと男同士のペアなんかも組むといい。
男ペアって今までもあったけど、もう本当にマジでやるの。見てて恥ずかしくなるくらい熱く絡んで、二人の演技は「氷の上の情事」とか言われちゃうのだ。

サンジちゃんはもちろんバレエ系です。キャッチフレーズは「氷の妖精」でお願いします。

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