大人のドア - 2007年04月29日(日) 暗い寒い夕暮れの団地の廊下で 蛍光灯の下でしゃがみ込んで セーターの上でジャンパーの下に 小さい猫を抱いて すぐ後ろのドアを開けたら ドアを開けたらサヨナラだ それから二十年 雨が降る自動販売機の置いてある ボロいアパートの玄関で ダンボール箱の中でタオルに包まれて 震えていたそいつを 両手で包み込んだ 誰か誰かと探していた 誰が誰だったのかをわかっていながら 無理で押してドアを開けてやった とっくに死んだはずのそいつを 抱きしめてやった 一緒に外にいた子どもも抱きしめてやった -
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