一年草 - 2004年05月04日(火) 勝手に大事に 思ってたよ 隅っこの方の 小さな草 誰かが 引っこ抜いて 穴ぼこが 空いてた 闇より暗くて 深い穴ぼこだった 春に見つけて きれいな夏の花 秋、枯れたとしても 大事に思ってたよ 雨と風にさらされ 冷たく硬い冬 雪に埋もれても 埋らない穴ぼこだった 穴ぼこを見る度 心がしわくちゃになるよ しわくちゃ心は 梅干みたいだね 気がつかなかっただけ また春が来るよ 雪が解けていくよ 穴ぼこが また見えた 気がつかなかっただけ もう春なんだよ 雪が解けたあとに 小さな芽が出てた 気がつかなかっただけ それだけなんだよ 小さな一年草 種ができてたんだよ 穴ぼこに 小さな芽が出てた 誰かの落し文 ラブレターだね 気がつかなかっただけ ずっとそうだったんだよ 今までも いつだって 種はできてたんだよ ちゃんと見ていたから やっと見つけられた 辛い気持ちに 優しく日が当る 深いはずの 穴ぼこだったのに もう底が見えるよ 小さな芽を出して 穴がしぼんでいくよ 一年の思い出は 草をはげまして 温かい気持ちが 種に届いたよ いつかまた 季節も巡って 誰かが通る時 大事に思ってくれるさ 夏には花も咲くもの 秋、枯れたとしても そういう花なんだよ ちょっと気づかない そういう花なんだよ 一年草 季節をまっしぐらに 追いかける草 -
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