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ちょっとしたことのお礼として友人から本を貰った。 今年度ピュリッツアー賞受賞作品、ジョン・ダワー著 『敗北を抱きしめて』(岩波書店、原題"Embracing Defeat")。 「何か希望の本ない?」と問われて、迷うことなく所望した。
従来からの戦後史研究と最も異なるのは、日本の敗戦からの復興を 政治家や知識人層といったエリート層ではなく、民衆の意識の側面に 注目しつつ考察している点だと思う。タイトルも非常に示唆的。 憲法や歴史教科書問題を考える上でも有益であるように思う。 友人に是非勧めたい本だ。
帰りの電車で文字通り貪るように読むふけってしまった。 小説以外ではこんな本は久しぶりだ。ああ、卒論が恨めしい。 ピュリッツアー賞は昨年も日本関係の書物が受賞した。 アメリカの日本研究の水準の高さ、そして関心の高さの表れであろう。
文学論の講師は先日の講義でピュリッツアー賞に対して 「制度化している」と批判していた。その批判は妥当なものだと 思ったが、今日の写真家の講演会では失望させられた。 その写真家を「大御所」などという形容詞をつけて紹介。 そんな形容詞、写真のレクチャーとどれほどの関連があるのだろう、と。
妙に堅い話になってしまった。 ***************************************************************** 講義の後、本をくれた友人と夕食。木曜の夜、彼と話す時間は 今の生活の中で最も落ち着くひとときかもしれない 「春休みにはシベリア鉄道でヨーロッパ入りしたい」 と言ったら呆れ顔だった。よくやるな、顔がそう語っていた。
木曜の晩、散歩好きの彼と夜の都内を徘徊・・、いや散歩が 出来るのももう数えるほどになってしまった。 「失って初めてわかるものがある」と言った人がいた。 けれど、失う前からその有り難みがわかることが 無くなってしまうのは、あまりに惜しい事だと思う。 為す術も無く、それを受け入れるほかないのだろうか。
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