2006年09月02日(土) |
帰ってきたスーパーマン |
ブライアン・シンガー監督の「スーパーマン・リターンズ」は「スーパーマン」(1978)「スーパーマンII冒険篇」(1980)の後日談という体裁をとってはいるが、ロイスとの空中散歩はあるし、レックス・ルーサーも出てくるしこれは実質的なリメイクだろう。そして元祖を上回るくらいに出来の良いリメイクである。評価はB。
今回の音楽担当はジョン・オットマン 。しかし、ジョン・ウイリアムズが作曲した元祖「スーパーマン」のメイン・テーマ(マーチ)は無論、愛のテーマやクリプトン星のテーマまでそのまま登場するのには恐れ入った。シンガー監督の思い入れの深さが窺える。ちょっとジョン・オットマンが気の毒。
映画の冒頭、元祖同様オープニング・クレジットがびよーんと尾を引いて飛び、低弦がリズムを刻む。音楽が次第にクレッシェンドで盛り上がってきて、頂点に達したところでトランペットの華々しいファンファーレが響き渡る。正に四半世紀前の再現である。これに胸が熱くならないファンがいるだろうか?
今回クラーク・ケントを演じるのはブランドン・ラウス。面影がクリストファー・リーブに似ているのは決して偶然ではない。ただ、そういう観点でオーディションされているので、個性とか演技力は弱いかなぁ。
一番ノリノリなのがレックス・ルーサーを演じるケヴィン・スペイシー。まるで水を得た魚である。スペイシーはブライアン・シンガーの出世作でもあるインディペンデント映画「ユージュアル・サスペクツ」に出演し、これでアカデミー助演男優賞を受賞している。正に友情出演と言えるだろう。
飛行機が墜落する場面はユナイテッド航空93便を彷彿とさせ、船が沈没する場面はまるで「ポセイドン・アドベンチャー」みたいで、内容はてんこ盛り、サービス精神旺盛である。ただ新鮮味があるかと問われれば疑問符がつくし、近年のヒーローものとしては「バットマン・ビギンズ」の方が面白かった。だから本作の<そこそこ感>は拭えない。しかし、翻ってみれば元祖もどこか牧歌的でのんびりした<そこそこ映画>だった。スーパーマンという作品世界にはそういった雰囲気が相応しいのだろう。
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