2006年08月14日(月) |
ふ(タ)し(イ)ぎ(ド)の(ラ)く(ン)に(ド)のローズ |
Rose in Tideland がAlice in Wonderland から派生したタイトルであることは明らかだ。テリー・ギリアム監督の新作「ローズ・イン・タイドランド」は「不思議の国のアリス」を現代を舞台に翻案した摩訶不思議なダーク・ファンタジーである。ギリアムとしては「未来世紀ブラジル」以来の傑作ではなかろうか(筆者は巷で評判の良い「フィッシャー・キング」「12モンキーズ」「バロン」などを全く評価していない)。今回の評価はB+を進呈する。
とにかく本作は邪(よこしま)で、悪意に満ちた寓話である。10歳の少女が主役ではあるが、彼女は時に娼婦のように大人たちに媚を売り世の中の荒波を逞しく乗り越えてゆく。ローズを演じたジョデル・フェルランド(撮影当時9歳)が素晴らしい。可愛いというよりは美しいと表現したくなるような男を惑わす成熟した色香がある。
金色に輝く草原。そこを巨大鮫のように通り過ぎる列車の轟音と突風。ぽつんと佇む廃屋。妖しく光る蛍。ニコラ・ペコリーニによる撮影も特筆に価する。
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