2004年07月19日(月) |
命の重さ=21グラム |
誰もが死んだその瞬間、21グラムだけ軽くなるのだという。「21グラム」、なかなか気の利いた題名だ。評価はB。
メキシコのアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督(こんな長たらしいの、覚えられるか!?)は独特なスタイルを持ったフィルムメーカーだ。ザラザラとした粗い粒子の画面がヒリヒリするような物語の効果を増幅する。
プロットはなかなか複雑な構成である。パズルのピースを散蒔いたように、時間軸がバラバラのまま物語は進行するのだが、映画の最後には見事にパズルの絵が一分の隙もなく完成する。観る前は混乱して判りにくいのではと危惧していたのだが、それは全くの杞憂だった。ギジェルモ・アリアガの脚本が素晴らしい。ただし、救いのない陰鬱な内容は好みの分かれるところだろう。交通事故が切っ掛けで否応なく結びつけられてしまった男と女の物語ならば、筆者は成瀬巳喜男監督の遺作「乱れ雲」(1967)(←クリック)の方がずっと好みだなぁ。特に加山雄三と司葉子が青森県の蔦温泉に往く場面が今でも鮮烈な印象として脳裏に焼き付いている(筆者も蔦温泉を訪ねたことがあるので)。閑話休題。
ハリウッドの一癖も二癖もある役者たち=ショーン・ペン、ナオミ・ワッツ、ベニチオ・デル・トロの花火を散らす演技合戦が見応え十分。3人ともアカデミー賞にノミネートされたのが実に納得できる(ただし、ショーン・ペンのオスカー対象作品は「ミスティック・リバー」だったが、彼が今回受賞できたのは間違いなく「21グラム」との合わせ技であろう)。ナオミ・ワッツは「マルホランド・ドライブ」同様に何の必然性もなく脱いでくれる。そのサービス精神に惚れた(←なんのこっちゃ!?)。
ナオミ・ワッツは1968年イギリス生まれ、14歳でオーストラリアに移住し18歳でスクリーン・デビュー。一方、ニコール・キッドマンは1968年ハワイ生まれで3歳の時オーストラリアに帰国し14歳でスクリーン・デビュー。同い年で同郷のふたりは大の親友らしい。是非ハリウッドを代表する女優としてこれからも輝いていって欲しいと願う今日この頃である。
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