エンターテイメント日誌

2004年06月02日(水) 君はDAICON FILMを知っているか?

あれは僕が大学に入学したばかりの1984年頃だったと想う。高校時代の友人が「これ、アマチュアの連中が創った、ちょっと面白いアニメがあるんだけれど、観てみない?」と言って譲ってもらった(市販されているものではない、怪しげな)ビデオに収録されていたのがそれぞれ5分くらいの短いフィルム、「DAICON III」と「DAICON IV」であった。1981年と1983年に大阪で行われた日本SF大会のオープニングを飾ったアニメーションであるという。可愛らしい女の子が主人公でその子がゴジラやバルタン星人、ダースベイダー、宇宙戦艦ヤマト、スタートレックのエンタープライズ号や、未来少年コナンに出てくる空の要塞ギガントなどをバッサバッサとなぎ倒していくという内容。SF映画とアニメーションへの愛情がいっぱい詰まった、玄人はだしの見事な作品であった。

その後そのビデオは我が家の押し入れの奥深くにひっそりと仕舞われていたのだが、つい先日懐かしくなって引っ張り出して観た。そして「これだけアマチュアのレベルを遙かに超えたクオリティの高い仕事をした連中だ。きっと現在ではプロの道を歩んでいるに違いない。」と思い付いて、インターネットでDAICON FILMをキーワードにして検索をしてみたところ、想像を遙かに超えた事態にびっくり仰天して腰を抜かした。ひとまずここ(←クリック)を見て欲しい。

な、なんとこのアニメを演出したのが後に「王立宇宙軍〜オネアミスの翼」で原案/脚本/監督を担当した山賀博之。原画や作画監督に庵野秀明や「新世紀エヴァンゲリオン」のキャラクター・デザインを担当した貞本義行などの錚々たる名前が連なっているではないか。そしてDAICON FILMは何とエヴァを製作したガイナックスそのものの前身だという。

DAICON IVのムービーサンプルはここで観ることが出来るが、これには音が付いていない。僕の手元にあるビデオには勿論付いている。何故こんなことになっているかというと、これはもともとアマチュアの作品なので音楽も既成の「ルパン三世」の音楽などを使用している。だから著作権問題に引っ掛かるのだろう。そういう訳でこのアニメ、今では市販ビデオ化もDVD化も出来ない<幻の作品>となってしまったわけだ。

庵野がこの度監督した「キューティーハニー」の(本編より桁違いに出来が良い)オープニング・アニメを担当したのがガイナックス。映画でミサイルが飛ぶ弾道の描写は実はDAICON FILMのそれとそっくりに仕上げられている。また平成「ガメラ」シリーズの特技監督で現在撮影中の映画「ローレライ」の監督・樋口真嗣がハニーの企画協力として名を連ねているが、樋口は後期DAICON FILMから参加した仲間で、逆に「ローレライ」にも庵野が協力しているようである。そんな縁(えにし)があったのである。

庵野に告ぐ。遊びの時間は終わった。もう実写をやりたいなんて子供っぽい夢(=映画ごっこ)は諦めて原点に還りなさい。DAICON時代の貴方には溢れんばかりの才能と輝きがあった。アニメーションにこそ貴方の居場所がある。そのことを是非忘れないで欲しい。


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雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]