2004年05月12日(水) |
ロックンロールは学校で学べるのか? |
「スクール・オブ・ロック」の評価は秀逸なB級映画という意味を込めてB+である。
はっきり言ってこの映画の設定は無茶苦茶である。幼少の大切な時期に勉強そっちのけでロックのことばかり教える学校教師が現実にいたとしたらはた迷惑なことこの上ない。それにこれは劇中主人公の台詞にもあるのだがロックンロール魂とは<親や教師、突き詰めれば体制への反抗>であり、その反骨精神こそがロックの真髄である。だからロックは学校で教える音楽とは本来対極の位置にあるべきものである。故に学校の生徒にロックを教えるという行為自体、明らかに自己矛盾を孕んでいるのである。
しかしながらこの映画の監督のリチャード・リンクレイターや自らロック・バンドを結成し音楽活動を続けている主演のジャック・ブラック、そして最初からブラックを念頭に脚本を執筆し、かつ主人公の友人役で出演したマイク・ホワイトら、この映画の製作チームは端からそんなことは承知の上。彼らはしたたかな確信犯である。この矛盾だらけで突っ込みどころ満載のB級映画がそれでも観客を興奮させ、感動させずには置かないのはこの作品に込められた作り手達のロックへの敬意、無償の愛ーその熱い想い故であろう。これは「ジーザス・クライスト・スーパースター」「ヘアー」「トミー」「ファントム・オブ・パラダイス」「ヘドウィッグ・アンド・アングリーインチ」などに続くロック・オペラ映画の佳作である。
舞台のロック・オペラ「レント」とディズニー版ミュージカル「アイーダ」のオリジナル・キャスト、アダム・パスカルが出演し、オープニングとクライマックスのバンド・バトルでその美声を披露してくれるのも嬉しい。この映画の主人公が家賃=RENTを払えなくて居候させてもらっている友人と言い合いになる場面があるのは決して偶然ではないだろう。
ちなみにピューリツァー賞やトニー賞で作品賞・楽曲賞などを受賞した「レント」はミラマックスが舞台初演当初の1996年から映画化権を所有していたが、なかなか企画が具体化せず(一時は「シカゴ」のロブ・マーシャルにオファーがいったが素気無く断られた)、結局つい最近ワーナー・ブラザースがミラマックスから権利を買い取った。ワーナーは「ホーム・アローン」や「ハリー・ポッター」シリーズを撮ったクリス・コロンバスに脚色・監督をオファーしたらしい。全然イメージに合わないけどなぁ・・・
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