2004年01月03日(土) |
ミュージカル映画「オペラ座の怪人」遂に登場! |
今年期待する映画は沢山ある。特にジャパニメーションを代表する宮崎駿監督「ハウルの動く城」、大友克洋監督「スティーム・ボーイ」、押井守監督「イノセンス」という御三家そろい踏みは壮観でさえある。そんな中から今回は「オペラ座の怪人」を取り上げる。
ガストン・ルルーの小説「オペラ座の怪人」は今まで繰り返し映像化されている。劇場映画には実に5回、テレビ映画も含めると7回。さらに一度アニメーション化もされているようだ。
「キャッツ」「エビータ」などで知られる作曲家アンドリュ・ロイド・ウェバーが舞台ミュージカル化してロンドンで初演されたのが1986年10月9日、日本で劇団四季が初演したのが1988年である。またブロードウェイでは演劇界で最大の名誉であるトニー賞で作品賞・演出賞・主演男優賞・助演女優賞・衣装デザイン賞・照明賞・美術装置賞の7部門を受賞し、以来英米では今日までロングラン中であり、日本でも現在福岡シティ劇場で上演されている。筆者は今まで沢山の舞台ミュージカルを観てきたが、「オペラ座の怪人」以上に深い感銘を受けた観劇体験はないと断言できる。余りにも好きなのでブロードウェイは無論のこと、世界初演されたロンドンのハー・マジェスティ劇場まで観に往ってきたくらいである。
ロイド・ウェバー版「オペラ座の怪人」は比較的早い段階で映画化の話があった。1990年にはワーナー・ブラザースがジョエル・シューマッカー監督、舞台のオリジナル・キャストであるマイケル・クロフォードとサラ・ブライトマン主演で映画化を発表した。その時業界紙「ハリウッド・レポーター」に掲載された広告がこちらで見ることが出来る(←クリック!)。
しかしこのプロジェクトは頓挫し、その後主演のファントム役をジョン・トラボルタがするという話が持ち上がった。そしてこれに激怒したマイケル・クロフォードのファンが立ち上がり、猛烈なネガティブ・キャンペーンをインターネットなどで展開するという騒動に発展した。トラボルタの話が立ち消えになった後発表されたのがアントニオ・バンデラス主演で「エリザベス」の監督のシェカール・カプールがメガフォンを取るという企画である。バンデラスのファントムはロイド・ウェバーのバースデイ・コンサートでお披露目された。
しかし、それでもなかなか実現に向けて具体的に動かない。業を煮やしたロイド・ウェバーはワーナー・ブラザースから映画化権を買い戻し、自身のプロダクションで映画化することを決意した。そこで彼が監督を依頼したのが1990年にも名前が挙がっていた「セント・エルモス・ファイアー」「タイガーランド」「フォーン・ブース」のジョエル・シューマッカーである。シューマッカーはロイド・ウェバーにこう言った。 「貴方が私にまだ監督をして欲しいと考えているのなら喜んで引き受けましょう。ただし条件があります。ファントム役をはじめとして、ちゃんと唄える若い人を中心にキャスティングしたい。」 ロイド・ウェバーはこの提案を承諾し、そして遂にこのビッグ・プロジェクトは始動した。
ファントム役に起用されたのは「トゥーム・レイダー2」のジェラルド・バトラー33歳。ヒロインのクリスティーヌは「ミスティック・リバー」でショーン・ペンの娘役を演じているエミィ・ロッサム、弱冠17歳。オペラを学んだ彼女はメトロポリタン歌劇場やカーネギーホールにも出演経験もある実力派である。彼女の歌声はこちらの映画「歌追い人」予告編で聴くことが出来る。
撮影は2003年9月15日よりロンドン郊外のパインウッド・スタジオを本拠地に開始された。その豪華な美術セットはこちらで見ることが出来る。さらに映画の一場面のスチール写真もつい先日公開された。こちらからどうぞ。シューマッカーは最近ではコリン・ファレルなど若手俳優の育成に長けている。彼が今回どのような成果を上げるか今から非常に愉しみである。またロイド・ウェバーは映画化に際し、舞台版にはない新曲を書いているそうである。狙うは当然米アカデミー歌曲賞。これは今から当確と予言しておこう。そして最終目標はアカデミー作品賞。果たしてミラマックスの「シカゴ」に続くことが出来るか!?
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