アニメーションのアカデミー賞と呼ばれるアニー賞は例年9月に授賞式が行われていたのだが、今年は延期され2/1に変更された。これには理由があって、アカデミー賞が昨年から長編アニメーション部門を新設したためで、その選考に影響を与えたいからだと公式にアナウンスされている。そして今年は<千と千尋の神隠し>が長編アニメーション部門と監督、脚本、音楽の計4部門を制覇した。前述したように、今年は候補となる対象の作品公開日が例年より長期に渡り、「モンスターズ・インク」など強力なライバルを退けての授賞だけに、ますますアカデミー賞受賞の期待が高まらずにはいられない。また、<千と千尋>はNational Board of Reviewやロサンゼルス映画批評家協会賞、ニューヨーク映画批評家協会賞、ゴールデン・サテライト賞なども授賞しており、まあオスカーも当確と信じて間違いないだろう。
先日、このエンターテイメント日誌を愛読して下さっている方から一通のメールを頂いた。そこには筆者が昨年の8/21の日記で取り上げた、<千と千尋>のDVDが赤みを帯びていて苦情が殺到しているという問題に触れ、「ジブリ側はやっぱりあの赤い画面は『意図した色合い』だと、公式に言っているのですがどうしてなのでしょうか?」と疑問が投げ掛けられていた。その理由についての筆者の考察を若干述べてみたい想う。
僕はあのDVDの赤い画面は明らかにジブリの色調調節ミスと信じて疑わない。だって国民生活センターも「対応が不適切」だと販売元のブエナビスタに勧告している(←記事にリンク、クリック!)くらいである。しかしなぜ鈴木プロデューサーは「製作者の意図した色彩」とあくまで主張するのか?それは自分たちの非を認めたら大量に出回っているDVDの回収や返金をしなければいけない立場に追い込まれ、そうなるとジブリやブエナビスタが大赤字を抱えることになるからだと考える。認める訳には決していかないのだ。
先日<千と千尋>は日本テレビでオンエアされたが、真っ赤っかのままだった。これにも理由がある。なぜなら現在販売元のブエナビスタはDVDの画質が赤いことに関して京都のある弁護士から損害賠償を求めて訴えられ、現在裁判沙汰になっているのだ。その詳細はこちら(←クリック!)。だからもしテレビで修正したまともな色調の画面で放送すればそれを録画され法廷に証拠として提出され、DVDの画質と比較されたらジブリの「DVD版が製作者の意図した色彩」という主張が根底から崩れてしまうのである。そうなれば裁判では明らかに敗訴する結果となるだろう。だから赤いまま放送せざるを得なかった。
ジブリは日テレの放送日である1/24からなんと3日間、「電話工事の為電話は繋がりません。」という告知を出した。こんな偶然の一致がありえるだろうか?つまり「画面が赤い」と再び電話で視聴者から抗議を受けることを想定して、予め予防線を張ったのである。これを確信犯と呼ばずして何と言おう(笑)?
では<千と千尋>をまともな画質で観るにはどうすればいいか?僕は今年の4/15に発売される、アメリカ版DVDを購入する予定である。 購入先はこちら(←クリック!)。さすがにアメリカ版は赤くない筈だ。なぜならアメリカは日本よりも過激な訴訟社会で賠償額も桁外。それなのに敢えて日本と同様の危険な賭けに出られる訳がないと確信するからである。日本での騒動を充分承知し裁判沙汰などトラブルを回避したいアメリカの販売元、ウォルト・ディズニー・ホームビデオ(ブエナビスタの親会社)もジブリに色彩修正を当然要求するだろう。
音声を切り替えればオリジナルの日本語でも愉しめる筈。ただしアメリカ版DVDはリージョン1で日本製のプレーヤーはリージョン2専用だから再生出来ないのでご注意を。勿論わが家にはリージョン1を再生出来るプレーヤーを用意してある。
さて、週末にははるばる上京して三鷹の森ジブリ美術館で宮崎駿監督の新作<めいとこねこバス>を観る予定。<となりのトトロ>の姉妹編だ。レポートは後日掲載予定。乞うご期待。期待して下さる方は是非右下の投票ボタンをクリックすることで意思表明を(笑)!
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