エンターテイメント日誌

2003年01月11日(土) キネマ旬報ベストテンに想う

2002年キネマ旬報ベストテンが発表になった。結果は以下の通り。

【日本映画】
(1)たそがれ清兵衛(2)刑務所の中(3)KT(4)OUT(5)AIKI(6)笑う蛙(7)阿弥陀堂だより(7)ごめん(9)ピンポン(10)とらばいゆ
〈読者選出1位〉たそがれ清兵衛

【外国映画】
(1)ロード・トゥ・パーディション(2)ノー・マンズ・ランド(3)鬼が来た!(4)マルホランド・ドライブ(5)まぼろし(6)酔っぱらった馬の時間(7)ゴスフォード・パーク(8)チョコレート(9)息子の部屋(10)アモーレス・ペロス
〈読者選出1位〉ロード・トゥ・パーディション

【個人賞】
日本映画監督賞=山田洋次「たそがれ清兵衛」▽脚本賞=山田洋次、朝間義隆「たそがれ清兵衛」▽主演女優賞=宮沢りえ「たそがれ清兵衛」「うつつ」▽主演男優賞=真田広之「たそがれ清兵衛」「助太刀屋助六」▽助演女優賞=北林谷栄「阿弥陀堂だより」▽助演男優賞=香川照之「刑務所の中」など▽新人女優賞=小西真奈美「阿弥陀堂だより」など▽新人男優賞=田中泯「たそがれ清兵衛」▽外国映画監督賞=姜文「鬼が来た!」

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「たそがれ清兵衛」が日本映画の一位というのは順当なところと納得出来るが、「ロード・トゥ・パーディション」が外国映画の一位というのは正直驚いた。確かに先日亡くなった撮影監督のコンラッド・L・ホールの生み出した映像は驚嘆に値する程美しいのだが、物語は所詮「子連れ狼」だからなぁ・・・。

ボスニア・ヘルツェゴビナの民族問題をブラックな風刺劇として描いた外国映画二位の「ノー・マンズ・ランド」の言いたいことは良く理解出来るのだが、僕はこういう頭でっかちで詩情の乏しい映画は嫌いだ。これは個々人の嗜好の問題であるから作品の善し悪しとは関係がない。

大林宣彦監督渾身の傑作「なごり雪」がベストテン入りを果たせなかったのは正直ショックであった。筆者も投票した読者選出ベストテンに入選していることを期待したい。せめて須藤温子ちゃんに新人賞を獲って欲しかったのだが、まさか台詞の全くない小西真奈美さんとは・・・。いや、そりゃあ確かに彼女は奇麗だけれど、新人賞ってそういうものではないだろう!?

逆に同じ「阿弥陀堂だより」で助演女優賞を北林谷栄さんが授賞されたのは心底嬉しかった。撮影当時90歳。ご高齢ながらもお元気な北林さんは日本映画の至宝である。

「文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞」を授賞した「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦」がキネ旬で入選を果たせなかったのは単に投票した映画評論家たちが無知だからである。彼らはアニメーションを端から馬鹿にしているから、既に評価の確立している宮崎駿監督や高畑勲監督作品くらいしか観ないのである。「クレヨンしんちゃんなんて子供向け」だと本気で信じているのだろう。宮崎さんや高畑さんでさえ、未だ無名だった若き日の不朽の名作「ルパン三世カリオストロの城」や「太陽の王子ホルスの大冒険」などはキネ旬で完全に無視されたのである。

それにしても筆者はあまり評価しなかったが世評はすこぶる高かった「ロード・オブ・ザ・リング」や、米アカデミー作品賞・監督賞を授賞した「ビューティフル・マインド」が入選しなかったのは意外であった。そういえばアカデミー賞を含めアメリカの映画賞の外国語映画部門を総なめにしそうな勢いのメキシコ映画「天国の口、終わりの楽園。(アルフォンソ・キュアロン監督)」も不思議と日本での評価は低かったんだなぁ。余談だがこのキュアロンは映画「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」でメガフォンを取ることが決まっている。

未見の「刑務所の中」「ゴスフォード・パーク」は近々観る予定。


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雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]