2002年01月31日(木) |
日本アカデミー賞に権威はあるのか? |
日本アカデミー賞の優秀賞の発表が先日あった。作品賞は「ウォーターボーイズ」「GO」「千と千尋の神隠し」「千年の恋 ひかる源氏物語」「ホタル」が受賞。これは米アカデミー賞のノミネートに相当し、このなかから最優勝賞が競われることになる。
しかし、「GO」「千と千尋の神隠し」は当然として、いくらなんでも他の映画賞では全く相手にされていない「千年の恋 ひかる源氏物語」と「ホタル」が入賞するのは酷過ぎるんじゃない?これでは「日本で最も権威のない賞」と巷で揶揄されるのも仕方がないことだと言わざるを得まい。
1980年に黒沢明監督の「影武者」が作品賞、監督賞など大量にノミネートされた際、黒沢監督はキッパリと辞退された。理由は「日本アカデミー賞には権威がない」から。この率直な発言は当時マスコミで大きく取り上げられ、「天皇クロサワの思い上がり」とのバッシング記事も出た。しかし僕は黒沢監督のとられた姿勢を断固支持する。そしてその実状は、20年以上経過した今でも何ら変わりがない。
例えば日本アカデミー賞では独立系の作品は完全に無視される。あの青春映画の大傑作、「がんばっていきまっしょい」(キネマ旬報ベストテン第3位)だってそうだった。北野武監督の作品が全く受賞できないのもこのためである。同じく独立系で映画を撮り続けている大林宣彦監督が監督賞にただ一度だけノミネートされたのが、松竹に招かれて撮った「異人たちとの夏」であるというのも象徴的だ。つまり投票権があるのが東宝・東映・松竹といった大会社の社員ばかりなので、当然そういう輩は自社作品に投票するから、駄作「千年の恋 ひかる源氏物語」と「ホタル」が入賞するといった、不当な評価が平気で行われる仕組みになっているのだ。
しかし、呆れかえったのは「Shall We ダンス?」が最優秀賞を12部門独占受賞した年だ。そりゃあ、作品賞や監督賞、脚本賞は納得できる。しかし台詞は棒読み、演技は素人のバレリーナに主演女優賞を与えるのも意味不明だし、撮影賞や作曲賞などにあの映画が果たして値するであろうか?
日本アカデミー賞は日本の大映画会社による、自分たちの会社の為の、自慰的イベントに過ぎない。つまり毎年テレビで放送されるその授賞式は、結果は無視してあくまで女優達の華やかなファッションを楽しむためだけに存在意義がある、そういうことだと僕は理解している。
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