2002年01月11日(金) |
キネマ旬報ベストテンに想う |
日本で最も著名な映画雑誌「キネマ旬報」のベストテンが発表になった。結果は以下の通り。
【日本】(1)GO(2)ハッシュ!(3)千と千尋の神隠し(4)EUREKA(ユリイカ)(5)風花(6)まぶだち(7)リリイ・シュシュのすべて(8)ウォーターボーイズ(9)光の雨(10)赤い橋の下のぬるい水
【外国】(1)トラフィック(2)花様年華(3)リトル・ダンサー(4)山の郵便配達(5)JSA(6)アメリ(7)蝶の舌(7)プラットホーム(9)ゴーストワールド(10)あの頃ペニー・レインと
GOと「千と千尋」がトップ争いをするだろうとの予想は以前書いた。しかし「ハッシュ!」は思わぬ伏兵だったなあ。これは未見なのでノー・コメントだ。「リリィ・シュシュ」は僕に言わせれば屑。まあ、それだけ映画の評価というのは観た人の感性によって様々だということだろう。少なくとも僕は「リリィ・シュシュ」に投票した批評家の感性を一切信用しない。だからベストテン特別号が発売されるのが今から楽しみだ。誰が投票したかチェックしなくちゃね(^^;。しかし、あの単純なお軽い映画「ウォーターボーイズ」が入選したのには驚いたなあ。クライマックスのシンクロの場面は確かに見応えがあるが、だってそれだけの映画だもん(笑)。
外国映画については重いテーマ主義というか、頭でっかちの作品が揃いも揃ったという感じかな。あの文芸映画「蝶の舌」でさえ、その声高な主張が映画の詩情を損ねていると僕は考えている。「トラフィック」は確かに上手い演出だけど、琴線に触れるものが全くない映画。言い替えるならば<技術はあるが魂のない映画>だ。「JSA」の主題は切実な問題を孕んではいるが、それを伝えるべき物語に練りが足らない。だってあのヒロインは一体何の役割を果たした?「山の郵便配達」は確かに素朴な良い映画だが、安易な回想シーンの挿入など語り口が余りにも愚直過ぎはしないか?「あの頃ペニー・レインと」は大変期待して観た映画であったが、僕にとっては退屈極まりない平凡な青春映画の様に感じられた。これに投票した人は単なる70年代へのノスタルジーに囚われているだけなのでは?これは世代によって大いに評価が別れる作品だと想う。同じキャメロン・クロウ脚本監督作品なら「ザ・エージェント」の方がよっぽど面白かったなぁ。「リトル・ダンサー」と「アメリ」が入選したことについては大納得だ。
まあ、こうやって酒の肴にしてああだこうだと好き放題論評することこそ、映画賞の最大の楽しみ方なのかも知れない。いくら権威があろうと、それが唯一絶対の価値観である筈はないのだから。
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