エンターテイメント日誌

2000年12月09日(土) さあ、戦争だ!

小説「バトル・ロアイヤル」は、日本ホラー小説大賞で最終選考に残りながら、選考委員3名(荒俣宏氏・高橋克彦氏・林真理子氏)から「こんなものを書いてはいけない」「嫌な感じ」等々の批判を浴びせられ、落選したという逸話を持つ。
荒俣宏氏曰く「非常に不愉快」、林真理子氏「作者自体が嫌い」「ホラー小説だから何をしてもいい、どんな残酷なとをしても許される、というのは大きな間違いだ」高橋克彦氏「(この作品に賞を与えては)ホラー大賞のためには絶対マイナスだ」とのコメント。なかなか凄まじい。
その選考過程が収録された角川書店PR誌『本の旅人』を読んだ枡野浩一氏が“賞とるマガジン”のコラムで「ここまで言うのだから何かある」と紹介したところ、それに応じて当時QJ(クイック・ジャパン)の発行人だった赤田祐一氏が「著者の連絡を乞う」旨の呼びかけを誌上で行い、それを読んだ著者の友人が著者に知らせて上梓に至ったそうである。

一方、池上冬樹氏は「本の雑誌」7月号でこう語る。
「一読して驚いた。どこをどう読めば“不愉快”という感想が出てくるのだろう。<中略>そもそも決して作者は殺しを賛美していないし、むしろ殺しあわざるをえない少年少女たちの絶望的な内面を切々と描いている。極限状況のなかでの醜くも愚かしい、悲しくも切ない、ときに美しく崇高な人間性を鮮やかに捉えている。」

そして深作欣二監督の映画版が遂に公開される。今度はその過激な描写が国会でも取り上げられ、国会議員を対象にした試写会まで行われた。もしこれが東映による策略だったとしたら、大成功といえるだろう。却ってこの騒動が「バトル・ロワイアル」の人気に火を付け、これ以上ない宣伝効果を生んだ。映画公開を目前として、なんと小説は週間ベストセラーの第1位に躍り出たのである。映画もダントツNO1ヒットは間違いない。

映画はR-15指定を受け中学生以下は観ることが出来ないが、深作監督は新聞紙上で堂々と「若い人たちはルールをかいくぐってでも観て欲しい。」と語っている。なんてカッコイイじじいなんだ!断固応援するぜ。

それにしても日本ホラー小説大賞を主催する角川書店はこの小説の出版権も、映画化権も放棄してしまう結果となり、地団駄踏んでいることだろう。それでも次回、林真理子氏らに審査を依頼するのだろうか?


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雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]