東京の片隅から
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| 2020年12月23日(水) |
「ホモ・サピエンスの涙」 |
ロイ・アンダーソン監督の新作。原題は「無限について」らしい。 原題も謎だが、邦題も謎。確かに泣く人は結構出てくるけど、それがこの邦題に結びつくのか。前作の「さよなら、人類」といい、いつもアンダーソン映画の邦訳は謎なんだけども、多分ちょっと古めのJ-POPが好きな人がいて、前作はたまの「さよなら人類」で今作はスターダストレビューの「木蘭の涙」あたりから引っ張ってきたのかな、と思っている。
タイトルが出てくる場面で、夜空に星が浮かぶように、真っ暗な画面に白い小さな点が増えていき、やがてアルファベットになる。それだけでももう素晴らしいのであった。あれがこの映画の全てを表している気がする。
1カットの長回しで、様々なショートストーリーが展開される。物語の冒頭で場面の輪郭を語る女性の声。監督はシェヘラザードをモチーフにしたらしい。ちょっと「夢十夜」を思い出させる。 とはいってもアンダーソン監督なので、短いシーンの間に「何か」が起こってしまうのか、それとも何も起こらないのか、見ているこちらはかなりの緊張感なのであった。なかなか心臓に悪い。
ほとんどがスタジオでセットを組んで撮影し、デジタルで組み合わせたとのことで、美術スタッフの凄腕に唸る。軍隊の行進シーンの背景以外は全部セットとのこと。 しかし作り物だからこその色彩や質感の統一感が素晴らしい。室内の風景はハンマスホイを思い出させた。
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