東京の片隅から
目次きのうあした


2019年08月22日(木) アンチタグ

NHKの朝ドラ、ここ数年ツイッター上で「アンチ」タグが出てくるようになった。
前からあって私が気づかなかっただけかもしれないが。悪意のあるタグで、ひたすら揚げ足を取って悦に入っているのが性格が悪い。集まって悪口をこっそり言っているつもりだろうが、穴居インターネット上で後悔しているのだからバレバレだ。れっきとしたいじめではないのか。
こういう悪口を言う人は自分が子どもの時もクラスでグループを作って気に入らない人間をハブにしたりいじめていたりしたんだろうな、と思う。
部活やPTAや嫁姑問題で、自分が苦労したから後輩には苦労させたくない、と考える人と、自分が苦労したんだから後輩が楽になるのが許せない、と考える人の2通りいるように思うが、アンチタグに寄り集まっている面々は前者の方なんだろうと思う。要するに妬みや私怨だ。

今の主人公は地方から上京してアニメーターとして働き結婚し出産し、夫が在宅で仕事をして子どもの面倒を見てくれて本人は会社に復帰する。
モデルになった女性は、その時代でもちゃんとそういう人生をつかみ取ってきた。
ドラマのような順風満帆な人生なんてありえないと文句を言うが、アンチタグの面々がそういう家庭を知らないだけで、少ないながらもないわけではなかった。
ただの事務職なら困難だったかもしれないが、アニメーターは職人みたいなもの。当時でも商店のおかみさんは子どもを背負って仕事をしていたし、親戚の大学の先生は奥さんが教師で大黒柱、院生の旦那が子どもの面倒を見ていた時代がある。
自分が得られなかった理解のある職場やイクメンな旦那を主人公が手にしていることが気に入らないんだろう。
対比的に書かれる仕事をあきらめて専業主婦をやっている元同僚が元アイドルなのも、けなげさの演出で、主人公に怨嗟を抱きやすい構造ができているのかもしれない。

そもそも朝ドラでワーキングマザーを描くのは無理があるんじゃないだろうか、と思ったりもする。
主人公と同年代の頑張っている女性はこの時間家にいないよね。私、学生の時も週力してからもリアルタイムで見られる時間に家にいたこと、ないよ?育休中くらいだ。
要するにドラマをリアルタイムで見ている視聴者は主人公と環境が違うわけで、そもそもワーキングマザーは反感を抱かれやすい主人公ともいえる。だから主婦が主人公の「ゲゲゲの女房」や「まんぷく」のように、家にいる自分を肯定してくれる心地よいドラマで評判が高かったんだな・・・と思うわけである。これが「べっぴんさん」などの「あからさまにいいおうち」なら環境が違いすぎて反感がないし、戦前を舞台にするともう当事者世代がほとんどいないから時代劇やファンタジーと一緒で現実感がなくてOKなのか。

そもそもドラマなんだからあちこち誇張したり端折ったりしているわけで、現実と同一視するのもおかしな話だ。
仕事を辞めざるを得なくて貧乏で姑にいじめられる、という見る人が鬱々とした気分になるドラマを朝から放送して欲しいんだろうか。でも「おしん」があれほど視聴率を得たことを考えると、自分より不幸な人間を見て喜ぶ人は案外沢山いるのだろうという気がする。
そのわりに「純と愛」という不幸が畳みかける朝ドラは視聴率がふるわなかったなぁ。


はる |MAIL