東京の片隅から
目次きのうあした


2016年07月12日(火) 大和和紀原画展

妹から「大和和紀の原画展に行ってきた、すごかった」と珍しく興奮気味のメールが来た。
開催は今日までとのこと。全然ノーチェックだった。というか君好きだったったっけ・・・?

家に叔母(24年組リアルタイムフォロワー)の「はいからさんが通る」はあったので、一時期N.Y.小町〜ハイヒールコップあたりまでは自分も読んでいた。地味だけど「眠らない街から」のシリーズが結構好きである。あと、合宿でペンションなどに行くと必ず「KILLA」とか「モンシェリ・ココ」あたりはおいてあるんだよね。そんなこんなで気づいたら結構読んでいるのであった。

最終日の会場はそれなりに人が入っていて、でも萩尾望都の原画展と確実に違うのは、大和先生の場合は作品と言うよりもキャラクターが愛されているんだな、という雰囲気。原画を前に少尉や冬星さんや狼さんへの愛を語る元少女たちの多いこと(笑)。会場の空気が柔らかい。萩尾先生の場合は世界観が愛されているというか崇拝されている印象だった。会場の空気も張り詰めていた。
デスク回りも一部再現されていて、開明墨汁とICの原稿用紙とミスノンに親近感を覚え、ルマのカラーインクに羨望する。もうルマは生産していないので手に入らない。

初めて生原稿を見たが、「はいからさんが通る」の着物の絞りが格子と点で表現されていたり、初期作品の「モンシェリ・ココ」でも縞の切り替えがきちんと洋服のパターンに沿っていたり(あぁこういう型紙で縫うのか、というのがわかる)とにかく服に対する熱意がすごいな、と思った。それが「あさきゆめみし」につながるのか。
しかし「あさきゆめみし」だけ密度が違う。タイトル、キャラクターの顔、着物の柄と色目、背景の植物や風景。込められた情報量も桁違い。この柄でこの構図でこの植物の季節がアレだから源氏物語のあの場面か、とわかる。
普通カラーイラストは水彩用の紙に書くのだが、トレーシングペーパーに描いて重ねたり布地?に描いてみたり。特に絹地とおぼしき布に描いたイラストは、描くとたいてい滲むのだが、滲んでない。どうやってあの微細な柄を描いたのか。絹目の紙なのか。いくら見てもわからない。
キャラクター以外の部分、植物などの描写もすごい。写実でもあり文様でもある。これだけ描くには膨大な量の資料と現物を見て描き慣れないとあのこなれた線は出ない。日本画を学びに行ったのかもしれない。とにかく溜息しか出なかった。漫画の域を超えている。

これだけの下調べや描き込みはデジタル原稿では不可能だ。
萩尾望都の原画展でも思ったけど、ご本人たちはそういう意識はないのだろうけど、「大御所の逆襲」感がある。今の若手にこんなのできるか、とプレッシャーをかけている感(笑)


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