東京の片隅から
目次きのうあした


2015年05月25日(月) 「舟を編む」

三浦しをん「舟を編む」読了。
辞書を作る人たちの話。
後半部の主人公がファッション誌編集部から異動してきたという設定はファッション誌に連載されたからなのだろうけど、にもかかわらず舞台が「辞書編集部」というのが三浦さんらしい。(例えば林真理子だったら絶対ファッション誌編集部が舞台になってる。)

登場人物はみんなちょっと不器用でいとおしい。(この主人公ここまでコミュ障でよく出版社=マスコミに入れたなぁと思わなくもないけど、それは置いておく。)

恋愛の項に「同性のみが対象でいいのか」と注を付けるくだり、BL好きな三浦さんらしいなぁとにやりとしたが、実際最近どこかの辞書で「異性」という限定表現から変わった、という話をどこかで聞いた記憶もある。
思春期にウフフな単語を辞書で引いてみたというエピソードと併せて、辞書にもすがりたい人たちの良き相棒となるように紙の向こう側の読み手に心を寄せる、辞書が人生を渡るための舟にならんとする作り手の思いが静かに熱い。

小学生の時に読んだ「ことばの海へ雲にのって」という本を思い出した。
あれは大修館と諸橋轍次の話だった。書道の先生のお宅に諸橋大漢和があって、金の箔押しの背表紙がずらりと並ぶ迫力ったらなかった。一度だけ中を見せて頂いたことがある。
自分の一生がかたちになる、本棚に並ぶそれはまるで墓標のようでもあったけれど、幸せなことだろうと、凡人は思う。


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