東京の片隅から
目次|きのう|あした
金魚を飼っている。 もともと一山いくらみたいな売られ方だったので、尾が曲がっていたり柄がぼやけていたりと、まぁそれなりな見た目である。 1匹、ずっと病気である。 最近は水底にじっと沈んで横たわっていることが多くなっている。 もう長くないだろうと思いつつ早半年、時々浮上して餌を摂ったりもするので、まだ致命的な状態ではないのだが、それにしてもやはりこのままでは先が長くないのだろうと思われる。
水底で尾が水流にゆらゆらと揺れる。長い胸びれも他の金魚が近くを通るたびにゆらりと揺れる。 痩せた赤と黒のぼやけた斑と、水面を見上げる目。 なんだかそれが妙に色っぽいのである。 しなだれているように見える。 病気の当事者を目の前にして思うことでないのはわかっているのだが、一度そう見えてしまうと、常にそう見えてしまう。
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