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2004年06月26日(土)
◆『ルジマートフ&ロシア国立バレエ団』(Aプロ&Bプロ)ファルフ・ルジマートフ、ユリア・マハリナ、他 (04/07/04up)



6月26日16:00〜(Aプロ)
6月27日15:00〜(Bプロ)
Bunkamuraオーチャードホール
(音楽はテープによる演奏)

〔芸術監督:ヴァチェスラフ・ゴルデーエフ〕



26日(Aプロ)、27日(Bプロ)ルジマートフとマハリナの『シェヘラザード』を観に、渋谷のオーチャードホールに行ってきました。
私はこの二人の『シェヘラザード』が以前から好きで、公演のたびに感激して、暫くその高揚感が残ります。
リムスキーコルサコフの音楽が耳に残り、二人の熱演ぶりを思い出してしまいますね。

今回は約3年ぶりに1幕通しで拝見することが出来ました。
公演内容は、両日とも1部がロシア国立バレエ団による様々なガラ形式の踊り、2部に『シェヘラザード』です。


〖Aプロ〗6月26日
《第1部》
このAプロは滅多に上演されない作品が多くて興味深かったのですが...。


【ベニスのカーニバル】よりグラン・パ
〔振付:M・プティパ、 音楽:C・プーニ〕
アシキミナ、スモリャニノフ、ロシア国立バレエ団
コール・ド付きで、明るい幕開けには合っていますが、特に印象的でもなかったですね。


【くるみ割り人形】よりグラン・パ・ド・ドゥ
〔振付:V・ワイノーネン、 音楽:P・チャイコフスキー〕
タギロワ、ブルラーカ
聞き覚えのある音楽で、再び集中力が戻りました。ブルラーカが細身でノーブルな雰囲気で良かったですよ。


【オンディーヌ】「ナイアードの漁夫」より
〔振付:M・プティパ、 音楽:C・プーニ〕
イワーノワ、アブリツォーワ、グエイケル、ロシア国立バレエ団
結構長かったですね。この作品はしっかり背景美術が用意されています。最初の『ベニスのカーニバル』と同じ音楽、振付家で、ストーリーはあるにせよ、何か盛り上がりに欠けていました。個性のない凡庸な古い作品という印象。
プーニの音楽は眠気を誘います。少々辛かった。バレエに音楽は重要だと思い返しました。


【盲目の少女】
〔振付:V・ゴルデーエフ、 音楽:L・リッチ〕
千野真沙美、プロツェンコ
ゴルデーエフの作品。音楽(アレンジ)の感覚が古い。千野さんは良く踊っていますが、前の作品の影響で、私の見る集中力が戻らなかったです。


【パガニーニ】
〔振付:V・ゴルデーエフ、 音楽:G.F・ヘンデル〕
ブルラーカ、マニン
男性2人によるゴルデーエフ振付の作品。衣装というより小道具として大きな黒いマントが色々な役割をしています。マジシャンのようにもう一人のダンサーを隠したり、出現さてポーズをとらせたりと工夫されていました。 ダンサーは身体の線が際立つ全身タイツ系。
重いテーマを扱っていて、ヴァイオリンを弾いている様子、キリスト磔刑ポーズなど、苦悩の様子を描いておりました。
でも、私的には振付や演出が苦笑の連続。それにマニンのスタイルと踊り(特に脚)が美しくなくてイマイチでした。スミマセン...。ブルラーカは良かったですよ。
全体的にインパクトは強かったので、目に焼きつきましたが...。


【ゴパック】「タラス・ブーリバ」より
〔振付:R・ザハロフ、 音楽:V・ソロヴィエフ=セドイ〕
ムラヴィネツ
短いながら、ロシアのバレエ団のガラ公演によく見かける作品ですね。
元気が良くて、ジャンプの高さとキレが際立つダンサーが踊ると、とても爽快です。
今回踊ったムラヴィネツも若々しくスポーティーで、観客から大きな拍手を浴びていました。


【ワルプルギスの夜】オペラ「ファウスト」より
〔振付:L・ラヴロフスキー/ V・ゴルデーエフ、 音楽:C・グノー〕
オソキナ、アヴェリン、テリャニコフ、ロシア国立バレエ団
『ワルプルギスの夜』は音楽が馴染み深いのと、目にも楽しくて好きな作品です。
このバレエを観るのは2度目でしたので詳しく解りませんが、一部音楽が抜けていたように思います。
さて妖しく禍々しい饗宴の場面は様々な者が登場し、とても華やかです。
美術、衣装も鮮やかでダンサーも皆、活気に満ちていてとても面白かったですね。
オソキナとアヴェリンの高いリフトも迫力があり、特にテリャニコフは回転系が得意なようで、大サービスというくらいテクニックを披露していました。
その他全体の調和も良かったと思います。
終わって拍手をしていたら、全員で最後の部分を再度アンコールとして踊ってくれました。ビックリしたわ!


〖Bプロ〗6月27日
《第1部》

【ナイーナの踊り】オペラ「ルスランとリュドミラ」より
〔振付:M・フォーキン、 音楽:M・グリンカ〕
ウシュジャニノワ、プロチェンコ、タギロワ、ロシア国立バレエ団
これも初めて。有名な前奏曲しか知らなかったので、内容も知らずに見ました。。
解説によると、魔女ナイーナが自分の魔宮にルスランをおびき寄せ、美しい乙女達が豪華な接待をして彼を幻惑させようとしている場面らしい。
薄いピンク系の衣装の群舞が多数登場し、様々なフォーメーションで場面を盛り上げます。
華やかで明るい感じのもので、プログラム導入部には良かったと思います。


【バヤデルカ】より太鼓の踊り
〔振付:M・プティパ、 音楽:L・ミンクス〕
ウシュジャニノワ、プロチェンコ、タギロワ、ロシア国立バレエ団
「このような踊りも得意にしていますよ」ということで、バレエ団初来日公演のプログラムに組み入れたのかな。
通常は2幕の婚約式場面に登場する元気なこの踊り、『バヤデルカ』の中でも楽しみな部分です。単独で見るにしても活気があっていいですね。楽しい気分になりました。


【白鳥の湖】グラン・アダージョ
〔振付:L・イワノフ、 音楽:P・チャイコフスキー〕
イワーノワ、フォーミン、ロシア国立バレエ団
お馴染みの2幕のグラン・アダージョ。しっかりコール・ドも付いていました。
悪くは無かったけど、特にダンサーの個性までは見出せませんでした。


【海賊】より奴隷のパ・ド・ドゥ
〔振付:M・プティパ、 音楽:P・V・オルデンブルグ〕
アシキミナ、グエイケル
けっこう良かったです。アシキミナの踊りとスタイル、それと腕の動きが美しかった。
グレイケルは奴隷商人にしては品があったかも。でも2人の踊りとしては大変纏まっていて綺麗でした。
あと、気になったのは、ランケデム役の男性の衣装に『シェヘラザード』風の胸当てが付いていて『海賊』にしてはヘンだなと思っていたら、この後の『シェヘラザード』のプロローグにやはり登場していました。


【アルレキナーダ】
〔振付:M・プティパ、 音楽:R・ドリゴ〕
千野真沙美、マニン、ロシア国立バレエ団
可愛くチャーミングな作品のわりには、何だか魅力に欠けていました。もっとキュートに演じて欲しかったです。


【愛のメロディー】
〔振付:V・ゴルデーエフ、 音楽:アルゼンチン民族音楽 アレンジ:J・ラスト〕
タギロワ、ブルラーカ
音楽はアルゼンチン民族音楽ということですが、アレンジが良くない。
踊りは美しかったけれど、どうもゴルデーエフの振付、特出した魅力が伝わってこないのよね。


【ドン・キホーテ】よりグラン・パ・ド・ドゥ
〔振付:M・プティパ、 音楽:L・ミンクス〕
オソキナ、テリャニコフ、サヴヴィナ、プロツェンコ、ロシア国立バレエ団
オソキナは、明るく粋に踊りこなしていて、とても良かったです。
テリャニコフはテクニック全快でしたが、勢いあまって時々バランスがブレるところもあって、前日に観た『ワルプルギス』の方が良かったかも。
最後のコーダでは特別演出になっていて、全出演者がそれぞれの衣装のまま踊りながら登場し、華やかに幕となりました。


ありがちなパ・ド・ドゥ集ばかりだと思っていたら、美術やコール・ドもきちんと付け、意気込みのある真面目な初来日公演だったと思います。
出来ればA、Bプロどちらかに、短くても構わないので完結する小品も見たかったですね。

(2部は翌日へ続く→)