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夢の図書館新館

お天気猫や

-- 2004年09月01日(水) --

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『仲世朝子・のんちゃんジャーナル』

いつもテーブルの上に置いてあって、いつでも手にとって 気軽にめくる写真集を「コーヒーテーブル・ブック」と呼ぶそうです。 私にとっての「コーヒーテーブル・ブック」は写真集ではなくて、 イラストブックやお菓子作りの本です。 いつでも手に届くところというと、家では、パソコンの側です。 疲れたとき、気分転換にぱらぱらとめくっています。 絶版で手に入れるのに苦労した『仲世朝子・のんちゃんジャーナル(1)(2)』と、 やっぱりオークョンでやっと買うことのできた『旅のおみやげ図鑑』(杉浦さやか)が 最近のお気に入り。

今思うと、仲世朝子さんの『のんちゃんジャーナル』は、可愛らしい イラストブックの走りですよね。 1986年から1989年に雑誌『Olive』に連載された、イラストエッセイ。 ちょっと背伸びしたオリーブ少女のために、映画や音楽、洋書、暮らしの中の アクセントになるようないろんな素敵なことを紹介しています。 少女雑誌の連載なので、かわいいイラストで、内容は、広く、浅く。 要はカタログみたいなものですが、取り上げているものがおしゃれかつ、 センスがなかなか渋め。大人が読むには、もちろん物足りなくて、 もっとつっこんで知りたいと思うのですが、だからこそ、この本が好奇心の 入り口になったとも言えそうです。結局、気になったものは、いつの間にか、 ほんとうに手にしているから。

初めて『のんちゃんジャーナル』を読んだときでも、オリーブ少女では なかったけれど、今までの自分自身のチョイスとは違って、多少の気恥ずかしさと ともに、新鮮な「旬」を感じました。 今のはやり、これからはやりそうなもの、はやらせようと仕掛けているもの。 いち早く新しくて、素敵なことを見つけ、自分の守備範囲を広げていけそうな 気分になりました。 あれから、長い時間を経て、再会してみると、お気軽でミーハーな視点と、 何ともいえない渋く的確な審美眼(!)がほどよくミックスされていて、 感心してしまいます。

『のんちゃんジャーナル』は、ほんとに何でもありで、リー・ベイリー (※『リー・ベイリーは私の先生』)や映画『真夏の夜のジャズ』 (※『「真夏の夜のジャズ」の帽子のお話』)が サザエさん美術館(※『サザエさんの美術館のスーベニア』)や クリスマス・プディングの作り方(※『クリスマス・プディング作ってみたよ』) とともに紹介されている混沌。 しかも、その『真夏の夜のジャズ』は音楽の話ではなくて、 そのフェスティバルの観客の帽子のかぶり方がとてもおしゃれだという話題 なのです。いかにもオリーブ少女的切り口。 そうかと思うと日本映画『悪名』をキュートでファンタスティックな映画だと 評している(※『「悪名」シリーズはかわいい』)。 オリーブ少女のための視点のずれ方がまた、新鮮なのです。 そうかと思うと『ちびくろ・さんぼ』問題のようなシリアスなテーマが 取り上げられていたりするのですが。 しかし、それだって、良くも悪くも、あくまでもオリーブ少女的見解なのです。

当時でも、可愛いだけではなくて、未知のものに触れる楽しみが あったのですが、今度は、既知となったものの再発見の楽しさ。 こうやって今開いていると、私の雑貨好き、ひいては『お天気猫や』を始めようと 思った原点が、ここにあったような気もします。 (シィアル)


『仲世朝子・のんちゃんジャーナル(1)(2)』著者:仲世朝子 / 出版社:マガジンハウス(絶版)

2003年09月01日(月) 『バルザックと小さな中国のお針子』

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