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舞台はリンダのホームグラウンド、アラバマ州のバーミングハム。 セーラ・スティーヴンズは、退職した連邦判事の執事であると 同時に、非公式のボディガードをも兼ねている。
毎朝、元判事の新聞にアイロンをかけるセーラ。 インクが手につかないようにと、執事らしい心配りだ。 ある夜、泥棒を捕獲したことが話題となり、彼女の完璧な仕事ぶりが テレビで流れたとたん、不気味なストーカーがあらわれる。 セーラを自分の元におびき寄せようと画策する男。 ストーカーは狙いを邪魔な判事に定め、セーラをどん底へ突き落とす。 もっとも、その事件のおかげで、セーラはマウンテン・ブルック署の カーヒル刑事と出会う。 事件とともに、こちらも穏やかとはいえないロマンスが始まる。
ヒロインのセーラがともかく「出来る女」なので、 出だしは小気味よく展開する。 執事という職業への興味も充分に満たしつつ。 お互いに強い意志と体力に自負を持つ者どうしのロマンスは、 中盤から一気に進んでゆく。 (刑事という役柄は、リンダのお気に入りなのだろうか?) が、狂気と権力を併せもつ敵ゆえに、最後は後味の悪い状況も。
今回のタイトル、原題は『Dying to Please』だが、邦題の 『一度しか死ねない』は、意図的にニューオーリンズを舞台にした別の作品 『二度殺せるなら』と同じにしたのだろうか。
結果として、セーラはかなり徹底的に嫌な目に合わされるので、 カーヒルがそばにいても後が大変では、といらぬ心配をしてしまう。 もちろんリンダ女王のエンディングは、ハッピーエンドではあるが。
ところで。 バーミングハムに「マイローズ」なる店が本当にあるのなら、 あるいはモデルとなった店があるならば、 そしていつか訪れる機会があるなら、 歴史あるハンバーガーとピカイチのアイスティーを 味わってみたいものだ。 セーラとカーヒルのように。 と思ったら、リンダの前書きにこうあった。
地元の人に訊けば、近くのマイローズ・レストランに案内 してくれるでしょう。それから、マウンテン・ブルックを車で 走り抜けるのでしょうね。実際にこの五年間、ここで殺人事件は 一件も起きていません──それはそうと、この通りにある町の時計は ローレックス製です。(/引用)
(マーズ)
『一度しか死ねない』 著者:リンダ・ハワード/ 訳:加藤洋子 / 出版社:二見文庫2002
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管理者:お天気猫や
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