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『アブダラと空飛ぶ絨毯』は、いろんな楽しみが ぎゅぎゅっと詰まっている。 あるいは、まるでするめいかのように、 噛めば噛むほどに、後からじわっとうまみが増してくる。 とにかく、楽しさ満載のファンタジーである。
『アブダラと空飛ぶ絨毯』は、ダイアナ・ウィン・ジョーンズの 『魔法使いハウルと火の悪魔』の続編である。 唐突に、2冊目の方から紹介しているが、 もちろん、『魔法使いハウルと火の悪魔』から読んでいただきたい。 ジブリで映画化が決定している『魔法使いハウルと火の悪魔』も 面白かったけれど、アラビアン・ナイトなどの、 エキゾチックなファンタジーが好きな私にとっては、 こちらの方がより面白かった。
※『魔法使いハウルと火の悪魔−空中の城(1)』
第一弾の物語の舞台は、魔法が存在するインガリー国。
魔女の呪いで90才の老婆に変えられてしまった少女ソフィが
呪いを解くまでのアドベンチャー・ファンタジー。
[ 映画の方は、2003年陽春公開予定
企画:宮崎 駿 / 監督:細田 守 ]
さて、どのくらい面白かったかと言えば、 ハヤカワFTの「妖霊ハーリド」(絶版)と、 大好きな『ミッケ!』シリーズとを合体させたくらい 非凡な面白さであった。
1891年に書かれた『妖霊ハーリド』も アラビアン・ナイトのバリエーションの一つ。 少々クラシックであるが、濃密な空気が味わい深い。
※『妖霊ハーリド』著者:F・マリオン・クロフォード /
訳:船木裕 / 出版社:ハヤカワ文庫FT
天界から追放され、人として生きることになった
妖霊ハーリド。魂のない人間として地上に堕ちた
ハーリドが、再び永遠の魂を得るためにはジフラー姫の
愛を獲得しなければならないのだが…。
『アブダラと空飛ぶ絨毯』も、空飛ぶ絨毯をはじめ、 願い事を叶えてくれる瓶に封じられたジン(魔神、妖霊)が 登場し、若き絨毯商人アブダラが、ジンにさらわれた 美しい姫君「夜咲花」を救い出すために、困難な運命と闘う。 これにソフィーやハウルがどう絡んでくるのか、 そこが、私の大好きな絵本『「ミッケ!』のような楽しさ。
『ミッケ!』は、きれいな写真の中にさまざまな小物が 隠されていて、じっと目を凝らして「宝物」探しをする絵本。 この場合は、物語の中に、前作でおなじみの面々や いくつかの謎がうまく隠されている。 まさに、『ミッケ!』である。 探して見つける楽しさまであって、サービス精神満載。
※『ミッケ!』シリーズについては、
→ 2002年02月12日(火) ☆街のワンダーランドにて。
ダイアナ・ウィン・ジョーンズのファンタジーは、 いつもひねりが利いていて、当たり前な展開はしない。 けれど、すべてにきちんとけりがついて、 こちらの期待を裏切らないから、 いつでもすかっとした読後感が楽しめる。
もちろん。 この本だって。 意外性と予定調和の絶妙なハッピー・エンドが 待っています。(シィアル)
『アブダラと空飛ぶ絨毯−空中の城(2)』 著者:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ / 訳:西村醇子 / 出版社:徳間書店
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管理者:お天気猫や
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