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メディアは選択的に事実の"一部"を伝える。
メディアの選択は、 それぞれのメディアの依って立つ所によって 大きく異なってくる。 「アル・ジェジーラ」(アラブ首長国連邦の衛星テレビ局)と アメリカのCNNの報道では、 同じアフガニスタン状勢を報道しても、 どちらを見たかで、 見た者の心に残っている事柄は違っているだろう。 そして、"私自身の目"で 事実を見ることは不可能であり、 また、私の事実と信じることが、 他の人と一致するとは限らない。 いつも思う。 "事実"というものはどこにあるのだろう? それは難しい問題であり、哲学的でもある。
私はアメリカに行ったことがない。 TV画面や映画のスクリーンの向こう側のアメリカしか知らない。 世界貿易センター (WTC) がテロで失われた時 −数え切れないかけがえのない命とともに− 今まで行ったこともなく、 行きたいと思ったこともなかったのに、 そこにあるべき"シンボル"が破壊され、 消え去った途端、深い喪失感を感じた。
テロにおそわれた当事国の国民でないから、 テロへの怒りよりも、 奪われた命、失われたシンボルへの喪失感、 無常感が強かったのかもしれない。 あれほどの揺らぎないものが一瞬のうちに、 破壊されていく。 地球よりも重いとたとえられる命が、 その重みを全く省みられない。 そんなことは、信じられなかった。
やがて、喪失感は、 センチメンタルな思いをともなうようになった。 テロ以前のNYを知りたいと、 そう思うようになった。 NYの−かつての移民たち−の歴史、 いかに、NYという街がつくられていったのか、 そこに住んでいる人々のエネルギーの源、 そういうことを知りたいと思った。
・『図説 ニューヨーク都市物語』
生き生きとしたニューヨークのエネルギーが伝わってくる
・『週刊地球旅行( 眠らない大都会ニュ−ヨ−ク ) NO.7』
ニューヨークの観光名所のハイライト
・『ニューヨーク「恋する21世紀」ブック 望遠郷(12)』
ガイドブックというより、
むしろ、ニューヨークの詳細なミニ百科事典
・『リサ ニューヨークへ行く』
小犬のリサはNYのおじさんのところに
ひとりで遊びに来ています。
わくわく心躍るNYでのリサの冒険。
心がほんわかする絵本
ニューヨークは、 それぞれの人生を生きる人々の エネルギーの集う場であり、 決して、テロの対象たるアメリカの象徴としての、 "ターゲット"ではない。
けれど。 それは、アフガニスタンに住む人々にとっても同じことだ。 アフガニスタンの都市は、 決して、空爆の標的としての"点"ではなく、 やはり、人々が住まい、人生を全うしていく場だ。 結果的には、タリバンから解放されたカブールには 歌声や笑いが甦り、自由の風が吹き始めているのだが。 そこにも当然、"選択的"に、 私たちには伝えられていない タリバン後の、苦しみもあるはずだ。 この時期、イスラムの解説本が、 書店にあふれているだろう。 政治的にイスラムを読み解く本も多いが、
・『イスラームの日常世界』
は、平易でとても読みやすく、 イスラム世界に生きる人々の、 普段着の顔をのぞくことができる。 そこに生きる人のエネルギーが伝わってくる。 今、イスラムは断食月、ラマダンに入っている。 ラマダンの意味、重要さも理解できるし、 文化の違いは、やはり、興味深い。 この地球には、日本人だけが住んでいるのでもないし、 アメリカ人だけが住んでいるのでもない。 文化の違い、価値観・世界観、主義・主張、体制の違い。 乗り越えることが難しい相違点は たくさんあるだろうが、 どれほどの大義があろうとも、 暴力を振りかざすところには、 すでに正義はないと思う。
TVの向こうに爆弾の閃光が見える。 TVの向こうにかつてのWTCのツインタワーが見える。 まるで、映画のように、WTCが破壊されていく。 そして、まるでTVゲームのように、 街が爆撃される。
切り取られていく、"日常"の一部分を パズルのようにつなげていきながら、 少しでも全体を理解しようと、 TVの前で、頭を悩まし、 本を開いては、 やはり、選択された"事実"の一部分を 自分自身も、取捨選択しながら、 自分の信じる"事実"を探している。(シィアル)
・『図説 ニューヨーク都市物語』著者:賀川洋 / 出版社:河出書房新社
・『週刊地球旅行( 眠らない大都会ニュ−ヨ−ク ) NO.7』 出版社:講談社
・『ニューヨーク「恋する21世紀」ブック 望遠郷(12)』編集:ガリマール社 / 出版社:同朋舎出版
・『リサ ニューヨークへ行く』 著者:アン・グッドマン / 絵:ゲオルグ・ハレンスレーベン / 出版社:ブロンズ新社
・『イスラームの日常世界』 著者:片倉ともこ / 出版社:岩波新書
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管理者:お天気猫や
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