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ヴォンダ・マッキンタイアの『夢の蛇』を読み、 それからしばらくして、 ロバート・シルヴァーバーグの『夜の翼』を読んだ。
どちらも、 文明が崩壊した後の、未来の地球が舞台だ。 自らの愚かさで、滅びた文明社会。 中世的な社会へと後退した、我らが未来。
SFというと、 今まで、どんな物語を読んできたのだろう? 私は長らく、SFが苦手で、 今も、好きだとは、言い切れない。
シビアでビターな読後感。 私が見る未来の物語に、いつも共通している。 私が、そういうチョイスをしているのだろうが、 いつもそうだ。 多分、そういう物語を拒みながらも、 一方では、惹かれ続けているのだろう。
この2冊を同時に語るのは、 乱暴だが、どちらも未来は過酷だが、 そのどちらにも、 ささやかに個人的であるかもしれないが、 救いのある物語であった。
『夜の翼』に描かれる未来は、 自ら無惨に崩壊させてしまった文明の残滓の中、 愚かなまでの残酷さが生み出した異形の生き物と、 管理されたギルドに生きる人間たちが、 さらなる人類の危機と対峙している。 過去の傲慢が招き寄せた宇宙からの侵略者の影。
『夜の翼』は、 確かに、感傷的で冷めた美しさを感じさせる。 感傷は多分、ゆるやかに滅びていく世界に対してであり、 物語の主人公である、老いた<監視者>の人生への感傷そのもの。
物語に救いがあるにもかかわらず、 読み終わったその夜、 近頃見なかったような悪夢を見た。 夢の内容はほとんど覚えていないのに、 恐怖や嫌悪感だけは奇妙に生々しい。 悪夢につきもののリアルさ。
なぜ、こんなにも読後感が悪かったのだろう。 読み終わった後。 悪夢を見た後。 他の本を読みながら。 『夜の翼』を振り返る。 世界の"乾き"が私の心をざらつかせたのかもしれない。(シィアル)
『夜の翼』 著者:ロバート・シルヴァーバーグ / 訳:佐藤高子 / 出版社:ハヤカワ文庫
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管理者:お天気猫や
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