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私には「タイム・スリップ(orトリップ)・ロマンス」という 得意なジャンルがある。(略して「TSR」) そういうジャンルがほんとうにあるのかどうかは わからないが、着実にこのジャンルの読書量も増え、 最近では、「いっぱし」の気分である。
クーンツの『ライトニング』に触れる前に、 この「TSR」に属する本にはなにがあるのか。 簡単に挙げておきたい。 (→詳しくは、こちら。 )
『ザ・マミー』 (アン・ライス) 『時のかなたの恋人』(ジュード・デヴロー) 『夢の中の騎士』(リンダ・ハワード) 『二千回目のプロポーズ』(ダーリーン・スカレーラ) 『満月』(原田康子) 他に 『たんぽぽ娘』(ロバート・F・ヤング) 『時をかける少女(特に映画)』(筒井康隆)は、 このカテゴリーに入れてもいいのではないだろうか。
クーンツの『ライトニング』は、何度も手に取り、 あらすじまで確認しておきながら、 「TSR」ものだとは、気がつかなかった。 表紙の絵がなんだか今ひとつで 読む気が起こらなかったのもあるし、 今や、私にとって、クーンツと言えば、 迷うことなく、 それは『ウオッチャーズ』である。 後にも先にも、私にとっては、 これ以上の傑作は、クーンツ作品では出会えない。 そう、クーンツの評価は確定している。 あまりにもその思いが強かったので、 他のクーンツ作品を読む気はどうしても起こらなかった。
ある時、知人から、 「ロマンティックなサスペンスが好きなら、 『ライトニング』は?」と奨められた。 面白かったというので、 書店で本を手に取り、ページをめくる。 その瞬間。 「ああ!」 何という不覚。 これは、「TSR」ではないか! そして、今現在、私の集めている 「TSR」コレクションの一部となっている。
美貌のベストセラー作家、ローラには、 子供の頃から守護者がついている。 守護者の正体が誰なのか、 一体どこからやってくるのか、 守護者については何一つわからない。 父を失い、孤児となってからも、 守護者はローラを助けてくれる。
ローラが知るよしもないが、 守護者は、時の彼方の、 ナチスドイツが支配する時代から やってきているのだった。
守護者の秘密。 ナチスドイツの野望とは? そして、ローラと守護者の未来は?
ところで、どの本に限らず、
タイムトリップの理屈は難しい。
「タイムパラドックス」
タイムトリップが引き起こす、さまざまな矛盾。
この本でのクーンツのタイムトリップの理論は、
タイムパラドックスを防ぐために、
かなり明快である。
明快であるが、当然、いくつかは矛盾が、
いや、(個人的な)混乱が残る。
とにかく、難しい。。。
この小説は、(残念だが)もちろん、 ロマンス小説ではない。 ナチスドイツの野望に巻き込まれたローラたちの逃亡劇に はらはらドキドキしながら、手に汗をにぎる小説である。 それが、この小説の醍醐味だ。 個人的な嗜好にすぎないからしょうがないけれど、 もっと、ロマンスがないと、「TSR」としては物足りない。 そこら辺が私の不満である。(苦笑)
クーンツの他の小説のように、 (月並みな言い方をするが) ジェットコースターに乗っているように、 スリルとサスペンス満点の小説であることは間違いないが。(シィアル)
『ライトニング』 著者:ディーン・クーンツ / 出版社:文春文庫1989
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管理者:お天気猫や
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