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夢の図書館新館

お天気猫や

-- 2001年01月23日(火) --

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『閉じられた環』

☆名匠ゴダードが放つミステリー・ロマン。

1931年、恐慌はそこかしこに暗い影を落とす。 詐欺師のコンビ、ガイとマックスの上にも同様に。 のっぴきならないところまで追い詰められ、 アメリカからイギリスへ逃げ帰る、その船上からはじまる 恋と裏切りと、「あの戦争」の残した傷跡の物語。

単なる詐欺師の恋と裏切りの話だと思って読んでいると、 やがて、ストーリーは大きくうねりはじめる。 ちょっと形が小さいけど、Keyは「◎」 (読み終われば、この意味はわかります。) 今こうやって、書きながら、 ストーリーの巧みさ、構成のうまさをしみじみ感じている。

それだけでなく。 舞台は70年前のイギリスとはいえ、 私の大好きなイギリスの姿を垣間見ることができ、 思わぬ収穫があった。 特に詳しく描写されていたわけではないが、 なじみの駅名がぽんぽん出てきたり、 イギリスならではパブやクラブの情景が出てくると、 またイギリスに行きたいなあと、イギリス熱も高まろうというもの。 イギリスの好きな人には、特にお薦めといえる。

さらに。 舞台はイギリスではなかったが映画『スティング』を 懐かしく思い出したりもした。 『スティング』よりは、ずっとビターであるが。

何だか思いもよらなかったおまけ満載。 それが、私にとってのこの本の魅力。(シィアル)


『閉じられた環』(上)(下) 著者:ロバート・ゴダード / 出版社:講談社文庫

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