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デビュー作『ハサミ男』でミステリファンを翻弄し、 狂喜させた殊能氏の待望の第二作 です。 『ハサミ男』の都会的な伶俐さとはがらっと趣きを変えて、 山深い因習に満ちた村で巻き起こる、陰残な資産家一族猟奇連続殺人事件! おどろおどろしい鬼の伝説と童歌、おまけに鍾乳洞付き!…なんですが、 探偵譚にお約束のペダントリィはすっとぼけた俳句合戦、 全編を彩る横溝賛歌や隠しジョーク、 各章の冒頭に置かれる古今東西の「牛」の引用文はことごとく嵌まりすぎ。
今回はダマされないぞ!と緊張して読み始めたのですが、 途中から「これはもしかして、笑ってもいいんだよね?」と 念を押しつつ笑い転げてしまいました。 とはいいつつも、『ハサミ男』でも印象的だった、 独善に落ちない冷静な批評眼はユーモアの底で冷たく光り、 静かに漂う絶望感は迷宮の出口を閉ざしてしまいます。 この人は、プロですね。ミステリ界では新人でも、物書きのプロです。(ナルシア)
『美濃牛』著者:殊能将之 / 出版社:講談社ノベルス
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管理者:お天気猫や
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