桜桃日記 ami
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2003年12月01日(月) ちょっと切なくなる時。



私は仕事で毎日200軒ほどのお宅を訪問している。
軒数が軒数なので、1軒のお宅に何ほどの時間も居られない。
ところが、お年寄りの中には話し相手を待っている方もいらして、なかなか世間話が終わらない。
こちらも、むげに話を中断するわけにもいかず、心は外に向きながらもお年寄りの話に生返事をしたりしている。
要するに、きちんと聞かず、聞いた振りをして相槌を打っているだけなのだ。
話の内容は実にくだらない。
近所の人間関係の不平不満が多い。

ある程度話を聞いたら、私もまだまだよそのお宅を訪問しなければならないので、話もそこそこにおいとまする。
すると、後ろの方から声がする。

「あんた、優しいええ人やなぁ。今度の日曜日わしのお茶の相手をしに来てくれ。」

ちょっと、切なくなって涙が出そうになった。
ばあちゃん、近所にお友達がいないんだ。
ほとんど、家から出ないから話題も近所のことばかりなんだ。
親戚にも見放されて一人暮らしをしてるんだ。
もし、亡くなってもしばらくは誰にも発見されないかも知れないんだ。 


ばあちゃん、私も仕事で各家庭を回ってるだけなんだよ。
日曜日までは来れないんだ。ごめんね。


私は後ろ髪を引かれる思いでその家を後にした。






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