2001年11月28日(水) お母さんの忘れ物
ゆんの母親は若い。
年は52歳だけど、たぶん世間の52歳からすると若い。保険の外交員で鳴らしたあと、居酒屋のママをしている。
その母が、最近ウィッグに凝っている。ポニーテールのようなロングのものや、シニヨンのついたショートのウィッグをつけて出かけている。
「どうどう?可愛い?おかしくない?」といつも聞かれる。
「うんうん、可愛いよ(笑)」といつも答える。
今日も、母親は仕事に出ていて家にはゆん一人だ。
そこへ携帯が鳴り出した。阪神タイガースのヒッティングマーチ。
家族からかかってきたときの着信音だ。
「あ、お姉ちゃん?今、二階?」
「うん、どしたん?」
「悪いけど下に降りて、探して欲しいんやけど」
ゆんは携帯を持って階段を下りた。
「なに探したらええの?」
「いつもお母さんが頭置いてるとこに──」
「・・・頭って(汗)」
「あはははは、頭忘れてきたみたいなんよ。頭がないねん」
「頭忘れたんや、大変やな。あはははは」
はたして、目的の場所に忘れられた頭が置いてあった。すぐに取りに戻ると言った母は、間もなく帰ってきた。着物姿で、短い髪を後ろにまとめただけの頭だった。
「も〜、こんな頭で一日おったんやで、恥ずかしいわぁ」
そう言いながら、シニヨンのついたウィッグをつけて「おかしくない?大丈夫?」と言いながら出かけていった。
うん、父親が母に惚れているのも分かる気がする。
こんな面白可愛いひと、一緒にいて楽しいだろうね(笑)
21:18 01/11/28