2001年02月09日(金) 最後の会話
ゆんは以前、ペットショップに勤めていた。だから、動物の死は日常茶飯事。
元旦早々、前日まで元気だった子犬が死んで霊場に火葬のために連れて行ったこともある。
でも、人の死となると、そうそう遭ってない。
同級生も何人か亡くなっているけど、みんなクラスが一緒だったという程度で仲のよかったコの死には立ち会ってない。親戚も元気なもので、お葬式に出た記憶は少ない。
最近出たのは、阪神大震災の数日前に、親戚のお兄ちゃんが自殺したときくらいだ。それにしても、小学生くらいのときに会った記憶がうっすらあるくらいで、死に顔を見ても「死んだ人の顔ってこんなんかぁ」くらいの感想しかなかった。
それが、一度だけ、人の死に激しいショックを受けたことがある。
スーパーの銘店コーナーに勤めていた時のこと。
銘店というのは、菓子折りを売っている場所で、いくつかのメーカーさんが入っている。例えば、風月堂とか本高砂屋とか、モロゾフとか。
その中に、大阪にあるカステラのメーカーも入っていたのだけど、そこの営業さんが事故で亡くなったことがあった。
その営業さんは、当時すでにゆんたちの店舗の担当を外れていて、しばらく会っていなかった。なのに、事故の前前日、ゆんが発注のために電話をしたところ、その営業さんが出たのだ。
久しぶりのことで、話は盛り上がった。まだ結婚一年目で、子供もうまれたばかりの彼に「今度来たら写真見せてくださいよ〜」などとのん気に会話をしていた。
それが、亡くなったと電話で知らされたときは信じられなくて何度も確かめた。
勤務中にもかかわらず、泣きつづけた。
こんなことになるとも知らずに、ゆんはその営業さんとの最後の会話をしたのだ。
人があっけなく死ぬということを、初めて意識した。
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あたりまえに明日を信じた二日前
「また今度」とは来世の約束?
意識せず疑いもせず明日のこと
今このときが最後かもしれない