およそ30分してJAFの人が来た。 電話で状況を説明しておいたが、来た人は知らなかったようで、もう一度状況を説明した。 するとその人は、いとも簡単に「ガス欠じゃないんですか?」と言う。 「ガス欠じゃないと思いますけどねえ。まだEを少し下がったくらいですから」 「そうですか。ま、いずれにしてもここでは見れませんね。まったく動かないんですか?」 「ええ」 「ちょっとエンジンかけてみましょうか」 「かかりませんよ」
ところがである。 JAF氏がエンジンをかけると、かかったのだ。 「かかりますねぇ」 「はあ…」 「じゃあ、ホームセンターの駐車場で見ますから、そこまで移動して下さい」
ぼくはまた車が止まるんじゃないかと、ヒヤヒヤしながら車を動かした。 しかし、ちゃんと50メートル先のホームセンターまで停まらずに進んだ。 入口が少し登り坂になっているのだが、そこが一番広いので、他のお客さんに迷惑がかからないと判断し、そこに車を止めた。
で、JAF氏の点検が始まった。 JAF氏はまず車を動かした。 ぼくは坂を登るような向きで置いたのだが、逆に坂を下る向きで置き直したのだ。 バッテリーでも充電するのだろうかと思っていたら、 「このままエンジンをかけたままにしておきます」と言う。 「はあ」 「もうすぐ止まると思うんですけど…」 「えっ?」
そうこうしていると、エンジン音がそれまでの「ブルブルブル」から、先ほどの「ト、ト、ト、トントン」に変わり、「トン、トン、トン、ト、…」と鳴って、止まった。
「ああ、やっぱり」 「なんですか?」 「ガス欠です」 「え?」 「止まったのは、坂道の下りだったでしょ?」 「ええ」 「この車はガソリンが少ない場合、下りの坂道とかでガソリンがエンジンに行かなくなるんですよ。だから止まったんです」 「…そうなんですか」 「ええ。いちおうガソリン10リットル用意してますんで、入れてみましょうか?」 「ガス欠なら、ガソリン入れんと動かんでしょ?」 「ええ、じゃあ入れてみますね」
JAF氏がガソリンを入れると、エンジンが動き出した。 5分ほど様子を見ていたが、止まる気配はない。 やはりガス欠だったのだ。 ということで、JAF氏はガソリン代を受け取り帰っていった。
ガス欠になったなんて、生まれて初めてのことである。 おそらくこの車には、予備タンクなんてついてないのだろう。 ま、走ればいいと思って買ったのだから、文句は言えない。 早く新車を買わんと。
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